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2018.08.27 (Mon)

死刑肯定論について

本稿は、死刑肯定論に係わる、引用記事。

死刑廃止論者たちは、彼らなりの論理を持ち出し、それを拡散しようとしてきた。
その一方で、一般人は、死刑を肯定する法理論を知らない。死刑肯定論の根本原則は、刑法を学んでいる人しか知らないような気がする。
ひょっとすると刑法の講義にて、死刑肯定論の根拠としてのカント哲学が存在していることもなされていないのかもしれない。

「哲学はなぜ役に立つのか?」(萱野稔人)にて、著者は、カント哲学を解説しつつ、死刑肯定論について哲学的根拠を紹介しつつ、論証を試みている。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

143頁
カントの定言命法

「いかなる場合でも絶対に守らなくてはならない」と命じてくる道徳のかたちをカントは「定言命法」と呼びました。定言命法とは、いかなる条件にも左右されない、無条件的な道徳命題のことです。カントはその定言命法こそ真の道徳のかたちだと考えました。
これに対し、条件つきの道徳命題のことを「仮言命法」といいます。「仮言」とは何らかの仮定・条件のことですね。
中略
仮言命法は条件つきの道徳命題ですから、その特定の条件のもとでしか道徳をも盛らせることができません。

145頁

道徳哲学のひとつの完成形としてのカント哲学

カントからすれば、道徳は正しいからこそ道徳なのであって、そうである以上はいかなる状況でも例外なく道徳は守られなくてはなりません。無条件的で普遍的、というのがカントの考える道徳の根本性格なのです。
事実、カントは『実践理性批判』という大著のなかで次のように定言命法を定式化しています。「汝の意志の格率が常に同時に普遍的立法の原理として妥当するように行為せよ」
難しい表現になっていますが、簡単にいえば「あなたのやろうとしていることが、つねに普遍的な原理として妥当するように行為しろ」ということです。要するに、誰もがおこなってもいいと思うことだけをやりなさい。ということですね。

146頁
カントもまた死刑を肯定していた

カントは定言命法の普遍性を体現するものとして「汝殺すなかれ(人を殺してはいけない)」という道徳命題をあげているのですが、その一方で『人倫の形而上学』という著作のなかで死刑を肯定しているからです。
繰り返しますが、定言命法とは、いかなる場合においても無条件的に例外なく当てはまる普遍的な道徳命題のことです。カントは、その普遍性・無条件性を体言するものとして「人を殺してはいけない」という道徳をあげています。その一方で、刑罰のために死に処することは時として必要だと考えているのです。

154~155頁
カントが考えた定言命法の根本原則は、じつは隠れた仮言命法である

ここから、なぜカントが死刑を肯定できたのかがわかります。
この根本原則からいえば、人を殺すということは、それが普遍的立法の原理となって、他人も自分を殺してもいいということを自分自身の行為によって認めるということにほかなりません。その根本法則は、普遍的立法の原理となってもいいことだけを行為せよ、と命じているわけですからね。それにもとづけば、人を殺すことは必然的に死刑を受け入れることになるのです。
ここにあるのはまさに「自分のしたことはそのまま自分に跳ね返ってくるけど、それでもいいのか」
という広い意味での応報論です。
カントが応報刑論の立場から死刑を肯定したことはすでにみました。カントの定言命法の考えにも、じつは応報論が隠れている。その応報論によって、「人を殺してはいけない」という定言命法と死刑肯定は論理的につながっているのです。


道徳の根本にあるもの
この広い意味での応報論こそ、互いに矛盾するようにみえるそれぞれの道徳判断を貫いている、根本的な道徳意識にほかなりません。
カントがみずからの道徳哲学において図らずも示してしまったように、定言命法の根底には、じつは「自分がされたくないことを他人にしてはいけない」という応報論的な根本法則がありました。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||


哲学が、こういう次元のところで現実社会の役に立っていることは意外であった。

中川八洋の著書で日本で紹介されている倫理哲学の類は、学問的に偏っているものだらけという指摘どおりだとすると、我々は、哲学を間違った形で学んでいたのかもしれない。

そういう意味で、学び直し、学界の権威の政治的立ち位置の再確認を含めて、哲学系の学者たちの存在について吟味し直す必要があるだろう。

以上

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テーマ : 日本を正常な国に戻したい - ジャンル : 政治・経済

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