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2017.08.22 (Tue)

移民受入れ拡大問題  対立意見を両論表記することで見えてくるもの

まず、経緯的な視点から。
過去数年、何が起きたか、総括したい。

民主党政権時代に起きたことだが、民主党政権が、選挙公約にない、「外国人地方参政権」法案を国会審議しようとした時期に、新聞は二派に割れた。

朝日、毎日は、外国人に地方参政権を付与すべきであり、日本は大国なのであるから広い度量を以て外国人をどんどん受け入れるべきだという趣旨のことを書いた。その報道方針は今も続いている。
読売は、どっちつかず。
産経は、保守系言論人を総動員するような感じで、明確に外国人地方参政権を否定した。

当時、野党だった自民党は、衆議院選挙で惨敗した翌年の夏の参議院選挙にて、漸く外国人地方参政権に党として反対を表明、主要議員も党決定に沿った演説を遊説先で行った。

その後、民主党政権時代においては、人権侵害救済法案閣議決定するところまで行き、朝日、毎日は賛成のスタンス。読売は、どういう問題が内包しているか示さなかった。産経一社のみが、明確に反対を貫いた。

そして、第二次安倍政権。安倍政権は緩やかな移民受入れ拡大を指向している。
少子高齢化、定年延長による労働人口の維持、女性活用拡大などもあり、急激な人口減少による経済活動の停滞(GDPの縮小)しないことを考慮していると私は見ている。
アベノミクスによる景気回復、雇用改善、2020年の東京オリンピック開催もあり、労働市場はひっ迫しつつある。給与が相対的に安く、成り手のいない介護事業の日本人従事者が不足しつつあるようだ。高齢化が進む農村の働き手不足も表面化しつつある。
安倍政権はそういう労働市場動向を察知し、働き手が不足する業種について、口実を見つけて、外国人労働力の確保を実現してきた。

つまり、総論で外国人労働者推進を強力に推進しているのではなく、各論の次元で個別に外国人労働者を受入れ拡大している、そうとれるのである。

見方を変えたい。

テレビ東京の人気番組で、「YOUは何しに日本へ」がある。中国人や韓国人がなぜか出演しない関係で、登場される外国人が意外に親日的なので、つい見てしまうのであるが、私は、この番組制作段階で、「外国人受入れに無防備な日本人を増やそうとする」ドス黒い陰謀が渦巻いているのではないかと危惧している。
そういう懸念を抱きながら番組を見ているのである。

グローバリゼーションが民族にとって必ずしも「善」であるとは限らないという意味である。

さて、8月21日読売朝刊にて、移民受入れについて、受入れ肯定派と受入れ反対の識者両方の記事が掲載された。

当該記事を以下に掲載する。

移民問題 読売20170821-1

移民問題 読売20170821-2

読売の場合、外国人地方参政権、人権侵害救済法案の記事で、両論併記ものはほとんどなかったが、今回のこの記事は異なる。

私個人についていうと、受入れ拡大反対の記述に大きく賛同しているものの、それなりの規模の移民を受入れている点において、受入れ肯定派の意見も無視できない。現状の政府対応に改善を促す提言が含まれているからだ。

つまり、(外国人地方参政権問題の報道のケースとは異なり)両論併記とすることで、どちらか一方の論理的欠陥がより浮き彫りになると言いたい。

記事を読んでわかった結論を言うと、短期的には移民受入れによる経済効果はあるかもしれないが、国体護持、安全保障、治安対策面など、長期的なマイナス効果が否定できない。移民受入れ拡大反対の記述、文章量的には短文だが、今後も参考となりそうな「普遍的キーワード」が多く含まれていることに着目している。
「そもそも移民導入は合理的な政策だろうか、移民政策は取り返しのつかない社会実験だ、移民を入れても人口減少は止められない、閉鎖と開放をうまく使い分け」という指摘は強烈である。
私もそこまでは考えが及ばなかった。

両論併記の記事が存在することで、どのキーワードが論争上有効なのか、浮かび上がってくるのだ。

拙ブログはスタンス的に、どんな状況においても、批判文しか書かないスタンスを排除してきた。従って、私は、移民受入れ拡大反対ではあるものの、政府がとるべき施策について具体的に提言すると同時に、この記事にあるようなキーワードを駆使することで、大規模な移民受入れ拡大阻止のため、防波堤を築くべき論理がどの辺にあるのか見えてきた。

それが、本稿にて、当該記事を紹介した動機である。
これ以上の移民受入れ拡大反対の方、どうか、この読売記事を保存いただきたい。

それは、成蹊大学の墓田桂教授の文章が、力強くかつ普遍的な論理を意識し纏められたものであるからだ。

最後に、移民受入れ拡大問題は、今後何度も蒸し返されることを想定すべきだし、そう予想する点において「冷静かつロジカルな粘り強い反対活動」が続けられるべきであることを指摘し、本稿を終える。

以上


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16:14  |  政府機関  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

「儲かりにくい分野」の「産業構造上の問題」を解決するのが先だと思います

移民受け入れトは、労働力と生産年齢人口(15歳から64歳)維持がポイントになると思います。

確かに、これらの問題は、少子高齢化に伴い、深刻化してきているというのは事実だと思いますが、政界や官界、産業界の「移民受け入れ拡大」の意見以外に、「真面目な問題解決策」を提唱する人物が見当たらないというのは、違和感を覚えます。

そもそも、問題の本質が何なのかを弁えている人が見当たらないというか、どこか見当違いな意見ばかり述べる人が多いように思っています。

介護や農業分野の人手不足というのは、産業構造上、「重労働」の割に「賃金上昇が見込めない」、「赤字になりがち」という、根本的な問題があるように思います。

そもそも、これらの分野は、日本の高度経済成長期(70年代)頃まで、「産業分野」というよりも、「生業」として行っていた分野ですから、家庭菜園や小作農など、家庭の「お米」や「野菜」などは、自宅で栽培していたものです。

たとえ、商業的に、大規模農園を営んでいる家であっても、その側面が強く、農場主が雇用していた「村人」は、60年代辺りまでは、地方に居住して暮らしており、都市部に移住する事は少なかったようですが、その「子供達」などは、経済発展と共に、より賃金上昇が見込める都市部に移住してしまいましたから、必然的にこれらの分野の人手が不足するのも無理はありません。

介護なども、そもそも「産業」というよりは、家族間の「労い」によるものである要素が強い為、見ず知らずの、部外者が家族の介護を行うのは、かなり厳しい問題があるようにも思えます。

元々、産業に適した構造では無い為、儲かりにくい構造(お米のコシヒカリやひとめぼれ、イチゴのとちおとめなどの農業ブランド品を生産できれば別ですが、開発年数やコストを考えると現実的ではありません)であるという事と、これ以上、農場を増やすのは難しい事、賃金上昇などが見込めない事など、新規参入や人材の移入に様々なハードルがあります。

正直、移民等の受け入れを考えるのならば、国産の農産物の質の低下は否めないと思います。

少々差別的に聞こえるかもしれませんが、移民が品質の高い国産ブランド品を作れるかといえば、非常に疑問ですし、労働環境上、離職や失踪も大いに考えられます。これは、介護の現場も同様でしょう。

同様に、伝統工芸や宮大工等の分野も後継者不足も深刻ですが、これらの分野も、似たような構造上の問題を抱えていますから、やはり「産業構造上の問題」を解決するのが先だと思います。

これらの分野は、資本主義の性質上、「資本的価値が低く」、「儲かりにくい分野」という、厄介な問題をかかえていますが、移民を受け入れても、構造上の問題を解決しない限り、同様の問題の発生は食い止められないと思いますし、社会保障費や安全保障、政治上の問題(待遇、参政権など)を抱え込むことになりますから、やはり移民受け入れは、基本的には、「一時的な労働人口減少対策」にはなっても、「問題を先送りするだけ」で、「根本的な解決」にはならず、「非常に問題が多い」というのが現実だと思います。
西 |  2017.08.24(木) 01:49 | URL |  【編集】

Re: 「儲かりにくい分野」の「産業構造上の問題」を解決するのが先だと思います

> 移民受け入れトは、労働力と生産年齢人口(15歳から64歳)維持がポイントになると思います。
>
> 確かに、これらの問題は、少子高齢化に伴い、深刻化してきているというのは事実だと思いますが、政界や官界、産業界の「移民受け入れ拡大」の意見以外に、「真面目な問題解決策」を提唱する人物が見当たらないというのは、違和感を覚えます。
>
> そもそも、問題の本質が何なのかを弁えている人が見当たらないというか、どこか見当違いな意見ばかり述べる人が多いように思っています。
>
> 介護や農業分野の人手不足というのは、産業構造上、「重労働」の割に「賃金上昇が見込めない」、「赤字になりがち」という、根本的な問題があるように思います。
>
> そもそも、これらの分野は、日本の高度経済成長期(70年代)頃まで、「産業分野」というよりも、「生業」として行っていた分野ですから、家庭菜園や小作農など、家庭の「お米」や「野菜」などは、自宅で栽培していたものです。
>
> たとえ、商業的に、大規模農園を営んでいる家であっても、その側面が強く、農場主が雇用していた「村人」は、60年代辺りまでは、地方に居住して暮らしており、都市部に移住する事は少なかったようですが、その「子供達」などは、経済発展と共に、より賃金上昇が見込める都市部に移住してしまいましたから、必然的にこれらの分野の人手が不足するのも無理はありません。
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> 介護なども、そもそも「産業」というよりは、家族間の「労い」によるものである要素が強い為、見ず知らずの、部外者が家族の介護を行うのは、かなり厳しい問題があるようにも思えます。
>
> 元々、産業に適した構造では無い為、儲かりにくい構造(お米のコシヒカリやひとめぼれ、イチゴのとちおとめなどの農業ブランド品を生産できれば別ですが、開発年数やコストを考えると現実的ではありません)であるという事と、これ以上、農場を増やすのは難しい事、賃金上昇などが見込めない事など、新規参入や人材の移入に様々なハードルがあります。
>
> 正直、移民等の受け入れを考えるのならば、国産の農産物の質の低下は否めないと思います。
>
> 少々差別的に聞こえるかもしれませんが、移民が品質の高い国産ブランド品を作れるかといえば、非常に疑問ですし、労働環境上、離職や失踪も大いに考えられます。これは、介護の現場も同様でしょう。
>
> 同様に、伝統工芸や宮大工等の分野も後継者不足も深刻ですが、これらの分野も、似たような構造上の問題を抱えていますから、やはり「産業構造上の問題」を解決するのが先だと思います。
>
> これらの分野は、資本主義の性質上、「資本的価値が低く」、「儲かりにくい分野」という、厄介な問題をかかえていますが、移民を受け入れても、構造上の問題を解決しない限り、同様の問題の発生は食い止められないと思いますし、社会保障費や安全保障、政治上の問題(待遇、参政権など)を抱え込むことになりますから、やはり移民受け入れは、基本的には、「一時的な労働人口減少対策」にはなっても、「問題を先送りするだけ」で、「根本的な解決」にはならず、「非常に問題が多い」というのが現実だと思います。

具体性かつ含蓄のあるコメント、参考になります。
移民問題、続報を検討中です。
管理人 |  2017.08.24(木) 07:06 | URL |  【編集】

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