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2017.05.10 (Wed)

安倍首相改憲方針  安倍談話・日韓合意・リットン調査団報告書との関連

ブログ「私的憂国の書」は、5月3日安倍首相改憲方針表明に対し、「自民の船田元党憲法改正推進本部長代理の「慎重であるべきだ」との見解から、自民党内の不協和音が安倍首相の改憲方針の障害になるとしている。

―― 参考情報 ――――――――――

安倍改憲論の障害になるのは自民党内の不協和音か
http://yukokulog.blog129.fc2.com/blog-entry-2702.html

―――――――――――――――――

私は、船田元議員の気持ちはおそらく、、、

自民党内部に事前相談することもなくあのような形で方針表明したことを「許せない」と言いたいのではないかと!


同時に、「5月3日安倍首相改憲方針表明」について否定的な保守層は、「安倍談話」、「慰安婦問題日韓合意」についても否定的な見解であろうと見立て、出稿するものである。

前稿では、安倍首相が掲げる改憲方針から、二つの改憲手法があることを前稿にて示した。

―― 参考情報 ――――――――――

改憲論争  都度加憲・正確に記述された憲法 どちらが合理的か
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-457.html

―――――――――――――――――

「糞真面目に正攻法で進められる改憲」、「レトリックを駆使し、100年がかりでGHQ憲法無効化を目指す加憲的改憲」どちらの改憲も合理的であるとみている。

前者は、憲法それ自体において

後者は、憲法条文的には正攻法ではないが国論を二分する論争で時間を浪費せず、国家の安全保障を優先させるという意味において

前者は、9条抜本改正、敵基地先制攻撃、巡航ミサイルの使用、核武装、核武装での敵基地攻撃について、9条に条文的にどう書くか、国民各層に認めていただくか、政治的な難題を抱えている。

ただ、世に言う真正保守層は、ともすれば前者を好むだろうと予想する。手法的に前者でなければ「許せない」からだ。


安倍首相が見出したであろう加憲の手法は、「安倍談話の手法を想定している可能性が高い」と私はみている。レトリック的手法を駆使することで、GHQ憲法の反日的各条項が100年もすれば無効化、その時点で憲法全体の抜本書き直しをすればいいのである。

「安倍談話」の核心が読み込めてない方には、理解することは難しいかもしれない。
すべては「安倍談話」に遡るのである。

そして、世に言う真正保守層は、「安倍談話」の言葉の中で、「村山談話を否定する」という「文章」がはっきりと埋め込まれていなければ納得しないのであろう。「村山談話を否定する」という文章が含まれていないことが「許せない」のであろうと私は見る。
しかし、安倍首相は、レトリック的に村山談話を否定する手法を見出し、「安倍談話」が発表されたのである。


||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

「反日同盟 中国・韓国との新・歴史戦に勝つ!」

石平
もうひとつ重要な意味。それは村山談話を葬り去ったということ。日本はこの二十年あまり、村山談話や河野談話に縛られてきた。ついにそこから脱してきたわけです。これまでは必ず「村山談話を受け継ぐのかどうか」を問われてきた。でも、もはやその問題は存在しないんです。これからは「安倍談話をどう認識するか」というのが論点となる。村山さんは談話が発表された当日、「私の談話は受け継がれていないじゃないか」とおっしゃいましたね。まさにそれでうよ。よくわかっていらっしゃる(笑)

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

同様の手法は、「慰安婦問題日韓同意」についても当てはまる。
拙ブログは、合意することで外交的に優位に立てるとの判断によって、日韓合意を決断したと解した。

―― 参考情報 ――――――――――

全方位的な「情勢分析」の必要性について
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-428.html

―――――――――――――――――

しかし、世に言う真正保守層は、「10億円もの金を韓国に支払い、合意した事実」が許せなかったようだ。あの事案は、そもそも合意する事案ではなく、10億円もの金を支払う事案でもなく、韓国に謝罪させなくてはならない事案である、そういう性格の事案であることは確かだ。

ちなみに拙ブログは、「安倍談話」についても、「慰安婦問題日韓合意」についてもビジネス文書レベルでの分析を行った。

すべては、「安倍談話」に遡るのである。「安倍談話」の意図するところを、読み切れていないから、許せない」という判断が先行、感情論で結論を急ぎ過ぎ、日韓合意に係わる冷静な分析がなおざりとなり、「5月3日の改憲方針についての首相表明」の判断が分かれてしまうと私はみている。

「安倍談話」を否定する人は「慰安婦問題日韓合意」や「5月3日の改憲方針についての首相表明」を否定するだろうと読むのである。

ここで、歴史的に重要な意味を持つ、一つの事案を紹介したい。
倉山満は、その著書にて、リットン調査団の判断を不服とし国際連盟を脱退した、当時の日本外交の対応の稚拙さを指摘している。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

真・戦争論 世界大戦と危険な半島
倉山満

真・戦争論

125頁
英・仏・独・墺・露・伊・土の七カ国が集まったベルリン会議の結果、ベルリン条約がまとまり、ブルガリアについては次のようになりました。

・大ブルガリア帝国構想は認めない。東リメリアとマケドニアはトルコ領とし、ブルガリアの領土はブルガリア本土のみ認める。
・ブルガリア本土に広範な自治を認める。ただし、主権そのものはオスマン帝国に残す。

126頁
こでブルガリアは、サン=ステファノ条約で認められたのより大幅に領土を削られたものの、事実上独立することになりました。事実上の独立とはオスマンの支配から離れるということですから、戦争の果実はロシアのものです。オスマン・トルコの面子だけは立てなければなりませんが、露土戦争で獲得したロシアの権益はすべて認められました。


127~128頁
昭和の日本がこの時のロシアの立場だったらブチ切れて戦争を始めても不思議でないところですが、ロシアは短気を起こしませんでした。オーストリア一国ならともかく、イギリスとオーストリアが組んでしまったらロシアは勝てません。オーストリア自身の軍事力は弱くても、英独が友達としてついているので勝ち目がありません。
ロシアは賢いので、勝ち目がない以上、どんなに面子を潰されても耐えました。ロシアは軍事力で持っている国だとよく誤解されていますが、実は外交力で持っている国です。力の論理の信奉者なので、強い国とは戦わず、弱い国は相手にしないリアリストです。
ところで、この時の「形式的主権は認めないが、実質的に自治権を認める」ブルガリア方式は、日本と重要な関係があります。ブルガリア方式を理解できなかったから大日本帝国が滅んだとも言えるのです。「主権はオスマン・トルコに残しつつもブルガリアがロシアの勢力圏に入ったのと同じように、満州国も、日本が満州事変で得た権益は全部認めるから、主権だけ中華民国に認めてくれ」というのが、満州事変後のリットン調査団の提言でした。リットン調査団とは、昭和六(一九三一)年、満州事変の発端となった南満州鉄道が爆破された柳条湖事件の調査を行った一段であり、リットン卿はその団長で、インド臨時総督も務めた英国の政治家です。とにかく名目だけは中華民国の主権を認めないと国際連盟の立場がないし、国際連盟の小国たちが「日本がやったようなことをドイツやソ連がヨーロッパでやったら困る」と言っている。だからここだけは妥協しないと日本のためにもならないから形だけは譲ってくれ、ということだったのです。
リットンは当然ブルガリア方式を知っていて日本に持ちかけているわけですし、日本側だって、ヨーロッパに行った外交官は一人を除いて全員優秀ですからわかっています。だからリットンは「これなら日本も飲めるだろう」と思っていました。

129頁
ところが、その例外の一人が、元オーストリア公使で当時の外相の内田康哉でした。まったく勉強せず、ブルガリア方式を提案されても理解できず、朝日新聞などがリットン報告書に対して、非難轟々で煽るとその言うなりになり、国際連盟を脱退してしまいました。この件で松岡洋祐がよく悪者扱いされていますが、松岡は実際には、国際連盟脱退に最後まで反対でした。松岡が「十字架上の日本」演説でイギリスと話をつけたのもつかの間、内田は「どんどん強硬論を言え」という訓令をおくりつけてぶち壊しています。


196頁
この内田康哉は、のちに昭和になって国際連盟脱退直前に外務大臣として「全世界を敵にまわしても、国土を焦土としても満州国承認をやる」と演説し、満州国を承認したがために全世界を敵にまわし、本当に日本国土を焦土にしてしまった人です。


||||| ここまで引用 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

これは、「政治の技術」を理解しない、当時の日本政府、外交関係者の失態であると理解する。

当時の日本政府首脳は、100%完全なものでなければ100%納得できるものでなければ受け入れないという発想で、国際連盟脱退を決断したのであろう。リットン調査団が「方便」としてまとめたものを、日本の国内世論、日本政府・外交関係者は「許せない」と判断したと私は解する。

私は、「安倍談話」、「慰安婦問題日韓合意」、「5月3日の改憲方針についての首相表明」、どれも同じ考えのもとで、政治の技術を駆使して編み出されたと受け止めている。

「許せない」人は、100%正攻法、100%明文化、100%相手が悪い、そうでなければ納得できない人たちであろうと思う。

安倍首相の決断が「許せない」方に私は問いたい。

自分は誰よりも愛国者であると語っている一方で、安倍首相が何か言葉を発するまで常に「待ち」の体制でいることが、愛国者の作法として妥当なのか否か?

100%明文化して安倍首相に対案を示せるのか?

100%正攻法で事が成就するのか?

ということなのである。

そして、許せない」と語り続ける言論人は、そもそも「安倍談話」を読み込んでいたのか?


きちんと読み込んでいないから、「日韓合意」を含むその後の判断も感情論が優先する「許せない」とする判断が支配的となる可能性を指摘し、本稿を終える。


以上

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