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2017.04.25 (Tue)

朝鮮半島有事 なぜ今「マッキンダー/スパイクマン地政学」なのか?

最近、2009年に出版された、中川八洋の「地政学の論理」を読み始めた。
中川八洋の本は、例によって、なるほどそうだという部分と、ちょっとこれは……………という部分がある。
私は、なるほどそうだと思える部分について、中川八洋の見識を高く評価する。過度な人物批判はいただけないという見解である。

地政学の論理

この本、2009年の刊行。中共のその後の経済成長、南シナ海進出などもあり、米朝開戦前夜の東アジアにおいて、「マッキンダー/スパイクマン地政学」に沿った軍事・外交上の分析、軍事・外交戦略構築の必要性があると考え、「地政学的視点からみた東アジア情勢の現状」、島嶼国家日本にとっての「マッキンダー/スパイクマン地政学」の必然性について、当該箇所から転載させていただく。



■「地政学的視点からみた東アジア情勢の現状」

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「地政学の論理」
400~401頁

海洋に浮かぶ島国に対する、ランド・パワーの侵略勝利は、大陸沿岸に海軍基地を有したとき、すでに定まっている。ランド・パワーが「制海」を完遂すれば、必ず「無敵のシーパワー」も兼ねるからで、この公理は、ローマ帝国の侵略に抗しきれず滅亡したカルタゴの悲劇において証明されている。ランド・パワーこそが、全世界の”海洋支配の覇者”となる潜在力において、シー・パワー国を凌駕している。

しかし、島国人は、「<ランド・パワー>対<シー・パワー>という十九世紀的な図式しかわからず、「侵略する<ランド・パワー兼シー・パワー>に対するに「防衛する<シー・パワー>」という、二十世紀以降の戦争の基本携帯を理解しない。日本人は、「島国人」の中でも、際立って、この無理解・無知の典型である。

しかも、ランド・パワーが、大陸沿岸に海軍基地を有し、シー・パワーとなった上に、十全なマンパワーと経済力とを有した場合、その侵略は地球規模の慣性をもつから、島嶼国家の海・空軍力ごときで、この侵略を拒否できるものではない。この結果、海洋は、シー・パワー国が支配できず、不可避に、ハートランドのランド・パワーが必ずや”海洋の覇者”になる。

東アジアとは、ランド・パワーの海洋支配が目前に迫っている。世界で最も熱い動乱の地域である。だから、東アジアでの島国の、自由と独立の主権維持は、すでに風前の灯といってよい。この地域での島嶼国家の存立は、危機を越えて絶望を孕んでいる。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

中共は、この本を読んで、南シナ海進出を決断したかもしれない。
私は、そう受け止めている。地政学の論理は、公開されたことによって、日本国民に警鐘を鳴らす一方で、敵(中共)に知られては困る部分も伝達されてしまったと解することができるのである。


■島嶼国家日本にとっての「マッキンダー/スパイクマン地政学」の必然性

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

「地政学の論理」

3~4頁

地球をくまなく、また一瞬で関知できる「知の偵察衛星」とは、言うまでもなく、マッキンダー/スパイクマン地政学のことである。本書が、マッキンダー/スパイクマン地政学の教科書を兼ねているのは、この理由による。スパイクマン地政学は、二十一世紀日本の外交にとって不朽の羅針盤であり、マッキンダー地政学は、二十一世紀日本の国防におtって死活的な海図である。羅針盤と海図なくして、暗黒に荒れ狂う大海である国際政治の中で翻弄される小船でしかない日本国は、どうやって自らを操船できるのだろう。
結論を先に言えば、スパイクマン地政学は、日本に「脱亜」と勧告し、米国に「入亜」を義務づけんとする。マッキンダー地政学は、日本に隣接する二つの巨大なランド・パワーが北と西から”沖合いの小さな島嶼国家”日本に鎧袖一触に侵攻する時がきたと警告し、日本に「陸軍力三倍増強」を判決する。
日本は、脅威から地理的に隔たった、南太平洋に浮かぶ”楽園”タヒチ島ではない。また、空母も原潜もなく、ウラジヴォストーク・ペトロパプロフスクや香港/海南島/カムラン湾に日本の海軍基地がなく、シー・パワーの要件をいっさい欠くため、日本は「海洋国家」ではない。あくまでも、ユーラシア大陸に隣接する”沖合の小さな島嶼国家”にすぎない。かつての「栄光の海洋国家」であった英国や、現代の「スーパー海洋国家」米国とは、日本には比すべくものは何もない。それに類する要件はいっさい存在しない。日本とは、二大ランド・パワーの脅威に慄く”沖合の小さな島嶼国家”で、それ以外ではない。

日本海も東シナ海も、大規模な軍事力を一瞬んみして日本列島に横付けできる”高速道路”である。北方と西方から侵略する、白色蛮族(ロシア人)と黄色蛮族(支那人)の上陸を、上陸作戦が開始されてから阻止することは万が一にも不可能である。
六千年の人類史において、上陸阻止に成功した作戦は数例しかなく、敵の上陸作戦は必ず成功する。クレタ島の廃滅やトロヤの滅亡に始まり、古代ローマ帝国の大軍団のウチカ/カルタゴ上陸(紀元前一四九~一四六年)やアレクサンドリア上陸(紀元前三〇年)から、二十世紀のノルマンデイ上陸(一九四四年)/硫黄島上陸(一九四五年)/沖縄上陸(一九四五年)に至るまで、上陸作戦は九九%以上の確度で必ず成功する。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

「ランド・パワー兼シー・パワー」となりつつある中共の膨張を島嶼国家日本だけで食い止めるのは不可能なようだ。
トランプ政権は、「入亜」を選んでいる。クリントンだったらどうなったか………………

■私の結論

日本が取り得る施策は、7つある。

①「ランド・パワー兼シー・パワー」を包囲する目的での、安全保障に係わる外交努力
②「ランド・パワー兼シー・パワー」を除外する目的での、経済ブロック形成(TPP)
③アメリカに「入亜」を促す
④日米安保強化(トランプ政権以降特に強化)
⑤憲法改正、平和安全法制
⑥防衛力強化、敵基地先制攻撃、核武装
⑦国内の反日勢力の無力化(特定秘密法案、テロ3法、テロ準備罪など)

安倍政権は、特に、①、②、③、④、⑦に取り組んできた。
①はほぼ完成の域。②は日本主導でのTPPの実現。
③は、中共に対し軟弱だったオバマに翻意を促した。
④は、アメリカ空母との共同での実践的訓練、以前なら猛反対されたが、今や誰も反対できない政治状況にある。
⑤、⑥はこれから確実に強化されるだろう。
⑦については、スパイ防止法の法制化、外患罪の改正が必要なのは言うまでもない。

つくづく思うことだが、安倍首相はこの本を教科書にしている?気がする。セオリー通りの対応でないかと思えるくらいである。他の首相ならここまで対処できなかったのではないか。


さて、中川八洋は「TPP反対が国を滅ぼす」という本を出している。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80674-7

「食料自給率」のまやかしとは? 反TPP論者に潜む底意とは? まかり通る情報操作を一掃する憂国の書!

 愛国者をよそおって「TPP反対」のキャンペーンをはる自称・経済通たち──その正体は「反日」の悪意に満ちた「亡国のイデオローグ」にほかならない。なぜなら、彼らの狙いは「ハーメルンの笛吹き」よろしく、まもなく崩壊必至の日本農業の惨状から国民の目をそらし、妄想でしかない「自給自足」経済へといざなう狂気の破壊工作だからだ。

 本書は著者長年のテーマである「農政自由化論」を、詳細な統計データを駆使して世に問う渾身の力作。でまかせの「食糧自給率」を掲げて管理貿易を正当化する一方、「減反」によって水田を枯らして恥じない農水省。肥料づけ・農薬づけの「でたらめ農業」を農家に押しつけながら、巨大な金融・保険会社として巨利をむさぼるJA農協。この二つを完全に解体しないかぎり、死滅寸前の日本農業に明日はない!

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

私は、「TPP反対が国を滅ぼす」という中川八洋の説に素直に納得するものではないが、「地政学の論理」の401頁に

地政学的に、ランド・パワーを弱体化させるために、

シー・パワー国家は、TPPで結束、ランド・パワーの経済発展を阻止する必要がある

という趣旨で解釈しうる記述がある。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

「第一ハートランド」「第二ハートランド」の大膨張の脅威にさらされている島国は、軍事的な国防の強化のみならず、マンパワーと経済力における絶対優位を維持する急迫の事態に瀕しているということである。経済力については、島国みずからが年率五%以上に大成長するか、ランド・パワーの経済発展を阻止しマイナス成長に落とすかの、優劣の格差を拡大することができなければ、島国には滅亡しかないと覚悟すべきだろう。マンパワーについては、ひたすら出生率を上げて、若年人口の大増加を図る必要がある。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

私は、今まで、TPPについては消極的反対のポジションであったが、
地政学的に「ランド・パワー兼シー・パワー」国家となった中共の経済発展阻止が必須なら、日本がアメリカ抜きのTPPを主導することは、島嶼国家の日本において、地政学上当然の措置であると判断できる
ことを指摘し、本稿を終える。

以上

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