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2017.04.13 (Thu)

安倍首相訪露の政治的意味  外交史上稀に見る勝負手を放つ?

本稿は、基本的に推論である。
原稿位置づけ的には、昨年12月出稿した下記原稿の続編となる。

日露首脳会談 実は「隠し玉」の筋が存在する?!
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-232.html


まず最初に、今日の南シナ海情勢を予見した言論人の存在について指摘する。

中川八洋の「地政学の論理 拡大するハートランドと日本の戦略」(初版2009年5月)に興味深い一節を見つけた。こう書いてある。


||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

地政学の論理

88~90頁

三、「(第二次世界大戦の)戦争後のアジアでは、軍事的に強大な支那国の出現を阻め。  米国の〈アジアの盟邦〉は日本のみ」
 
スパイクマンの『世界政治における米国の戦略』が、戦後すぐ、邦訳されなかったのは、日本の学界・出版界に何らかの重大な問題が潜んでいるのを示唆する。その結章(全十六章の本の、僅か十六分の一)すら、今日に至るも学界が無視するのは、GHQ占領史や米国の対日外交の学問研究を歪曲する意図によろう。この結章は、米国政府に与えた絶大な影響の事実においても重要で、例えば、そこには、「中国重視か、日本重視か」に揺れる国務省に対する、スパイクマンの明快な回答がある。

スパイクマンは、戦後のアジア政策政策について、米国は「中国重視となるだろうが反対である、米国は軍事的に強大な支那国の出現を阻止すべきで、米国の(アジアの盟邦)としては、現在の敵国・日本を選択すべきである、と提唱したのである。

このスパイクマン提唱が、三年後の一九四五年に入ってからのクルー国務次官やスティムソン陸軍長官といった親日派の活躍の、(直接の影響を与えたわけではないが)先駆であったのは言うまでもない。

戦時中のクルーやスティムソンが残した遺産は、戦後は一時、親中派に牛耳られた国務省の対アジア政策をふたたび揺り戻した。中道路線のマッカーサー元帥は、一九四八年頃から、GHQの対日政策を、ホイットニー/ケーディスらの”日本潰し”路線から、ドーマン/ウィロビー/カーン/パケナム/ドレーパーらの”日本再生”路線に大転換させた。戦後になっても、スパイクマンの『世界政治における米国の戦略』は、米政府部内に大きな影響を与えていた。米国の親日派(日本重視派)の系譜を図示しておこう。

「スパイクマント→グルー/スティムソン→ドーマン/ウィロビー/カーン/パケナム/ドレーパー→フォスター・ダレス」

この系譜こそが、”日本再生のトリオ”「昭和天皇/マッカーサー(ウィロビー/吉田茂)のエンジンとなった。ところでスパイクマンは、少し天才がかっているから百年先まで見えるのだろうか、二〇二〇年頃には現実となる、中共による東南アジア支配や南支那海の「制海」を予見して、今から七十年前の一九四二年、米国政府部内の親中派を、次のように牽制した。

「近代化し軍事力を増強した支那は、(シンガポール/南支邦海/海南島/フィリッピン/インドネシアの海域を指す)〈アジアの地中海〉で西側諸国(米国)に対して脅威となるだろう」[(仮に米英日の海軍同盟があっても)エアーパワーを有した支那は、(ハートランドのロシアに似た)その大陸的性格とあいまって、〈アジア地中海〉を制海するに至る」(注6、丸カッコ中川)。

そして、第二次世界大戦後の米国の対日政策は、敵国であったとか、日本によって米国が甚大な被害を蒙ったとかをすべて水に流して、一緒に戦った同盟国の英国に対する政策と類似の保護的なもの(a similar protective policy)であるべきだと結論する(注6)。戦後目本の外交と安全保障の要石である日米同盟の構築に、スパイクマン地政学の存在を無視してはならない。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||


既に、1942年段階で、南シナ海での中共の覇権支配の動きを予見していた米国人がいて、中川八洋はその可能性に気づき、本書で紹介したのであろう。

拙ブログは、2017年元旦の記事にて、注目すべき言論人は中川八洋であると指摘した。

―― 参考情報 ――――――――――

保守の実力 海外について知るべき二つのこと
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-281.html

―――――――――――――――――

確かに、中川八洋の書きぶりは過激、本によってはエキセントリックな部分があり、誤解されやすい方ではあるが、核心を読み当てていると私はみている。

ここで、オバマ政権時代の、安倍首相の地球儀外交をふり返りたい。
米中二強支配、日本よりも中共をアジアのパートナーとして選んだオバマ外交は、結局行き詰り、安倍首相が主要先進国安全保障外交の「扇の要」的役割を担いつつある。

拙ブログは、トランプ大統領就任に際し、安倍首相が、アメリカ政府からかつてのキッシンジャーの役割を託され、トランプ大統領は安倍首相を介して、アメリカ政府として外交措置を行うであろうと予想した。

―― 参考情報 ――――――――――

・安倍・トランプ怪談 安倍首相はトランプに「貸し」を作った!?
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-215.html

・日米首脳会談 なぜ麻生副首相同行要請されたのか?
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-322.html

・日米首脳会談 安倍首相はトランプの側近中の側近となった!
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-339.html

―――――――――――――――――

今回の訪露は、そのための措置と解することができよう。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

http://www.sankei.com/world/news/170412/wor1704120017-n1.html

安倍首相 4月27、28日訪露へ 露外務次官

 【モスクワ=黒川信雄】ロシアを訪問中の鈴木宗男元衆院議員は11日、ロシアのモルグロフ外務次官と会談した。モルグロフ氏は鈴木氏に対し、安倍晋三首相が今月27、28両日にモスクワを訪問すると明らかにした。鈴木氏が同日夜、記者団に語った。

 米国によるシリア攻撃で米露関係が悪化したことを受け、4月に見込まれていた首相の訪露日程に影響が出るとの見方が一部にあるなか、モルグロフ氏はどのような状況であっても日露首脳会談は実施されると強調したという。

 鈴木氏はシリア情勢をめぐり、化学兵器の拡散・使用に反対する日本の立場などを説明した。ロシア側は化学兵器に反対する考えでは日本と一致しているが、米国が独断で武力行使に至った点などについて批判的な見解を示したという

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||


その狙いはどこにあるか?

私は3つあるように思う。(正確には4つあり、4つ目の狙いは後述)

・トランプ大統領の名代として、北朝鮮問題に係わる日米最終方針の伝達
・露中分断(ロシアには別の餌を用意、中共に与える餌はない?)
・拉致被害者救出

一つ目は、武力行使のケースと武力行使しないケースが想定される。

ニュース報道界、ネット界では、武力行使のみを想定した情報が飛び交っている。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170412-00000092-fnn-pol

 米が日本に「北朝鮮攻撃」言及

フジテレビ系(FNN) 4/12(水) 6:35配信
北朝鮮の核や弾道ミサイル開発をめぐり、アメリカ政府が日本政府に対し、中国の対応によっては、アメリカが北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性を伝えていたことがわかった。
軍事攻撃の可能性への言及があったのは、先週、行われたアメリカと中国の首脳会談より前の4月上旬で、日米の外交筋によると、北朝鮮への対応に関し、アメリカ政府高官は、日本政府高官に対し「選択肢は2つしかない。中国が対応するか、われわれが攻撃するかだ」と述べ、「攻撃」という表現を使って、アメリカの方針を説明した。
このアメリカ政府高官は、この方針が、首脳会談でトランプ大統領から習近平国家主席に伝えられる予定だとも述べた。
アメリカ海軍は8日、原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする艦隊を、朝鮮半島近くに向かわせたと発表した。
中国に具体的な行動を促す狙いがあるものとみられる。
一方、日本の外務省は11日、「直ちに安全に影響がある状況ではない」としつつ、韓国に滞在や渡航する日本人に対して、朝鮮半島情勢に関する情報に注意するように呼びかける、海外安全情報を発表した。

最終更新:4/12(水) 6:35

Fuji News Network

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 
―― 参考情報 ――――――――――

米・中・日・韓が北朝鮮を攻撃準備?
http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/52005879.html

【速報】外務省、韓国への渡航者に注意喚起を始める「朝鮮半島情勢に関する情報には、引き続き注意してください」
http://hosyusokuhou.jp/archives/48790102.html

外務省が『在韓邦人の名簿を作成し始める』危機的事態が進行中。韓国滞在者にそれとなく呼びかける
http://u1sokuhou.ldblog.jp/archives/50497327.html

朝鮮半島有事はもう秒読み段階
http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53228969.html

海上自衛隊も米軍空母打撃群に合流
http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53229021.html

【緊急拡散】日本政府が韓国への渡航規制を出せない理由が ヤ バ す ぎ る !!!
http://www.news-us.jp/article/20170412-000011k.html

―――――――――――――――――

アメリカがシリアで59発ものトマホークでシリアを攻撃したのは、北朝鮮には脅威だろう。

ニュース報道的には、武力行使の前提のものだらけであるが、「武力行使なしで済ませる筋」を私は見出している。


二つ目の狙いは、トランプ大統領の名代としての他に、北朝鮮問題を含む、日露の協力関係の最終確認となる。3月に、安倍首相がEUを含むヨーロッパ各国を訪問した意味を考えたい。北朝鮮対応にロシアが協力する見返りに、ロシアへの経済制裁解除の了解(密約)を取り付けた「筋」を私は見出している。


そのうえで、もし、これら二つの条件が揃うことが何を意味するか?

北朝鮮は、安全保障外交的に完全に孤立、外堀を埋められ、袋の鼠の如く追い詰められた状況となる。(訪露の4つ目の狙い)


そのうえで、三つ目の狙いとしての「拉致被害者の救出」シナリオを考えたい。
これは、わが国にとって、歴史上重要な意味を持つ。
北朝鮮に対し、アメリカが武力行使した場合は、拉致被害者の救出は難航すると予想する。
武力行使とならない場合、こういう「筋」がある。



北朝鮮に対し、武力によっていつでも事が解決できる準備を整えつつ、北朝鮮にとって命綱だったはずの「安全保障に係わる露中チャンネル」が分断、無力化され、北朝鮮が完全に孤立、外堀が埋められたことを理解させたうえで、「北朝鮮指導層一族を第三国に亡命させる、その見返りに、拉致被害者を無事解放させる」というシナリオが存在する。

トランプ大統領が、米中首脳会談の夕食会の最中に、トマホークでシリア攻撃した意図、おわかりであろう。

もちろん、戦術的には戦わずして勝利するのが常道である。

イラクでは、アメリカ主導で敢えて戦端を開いたのが祟り、アメリカ政府は苦労することになった。
北朝鮮の指導層も一族殲滅されるよりは、亡命を選ぶ可能性が強いことを予想するのであれば、アメリカ軍がアジア方面で近年見せなかった規模での展開、用意周到さを北朝鮮に誇示、トランプ大統領は北朝鮮に対し、ことさら問答無用のポーズをとっている。


私は、トランプの強面は、演技であろうとみている。トランプが尊敬するレーガン大統領は、いろんな意味で役者だった。


皆様は、以下の2ケースのどちらを選択されるであろうか?

■ケース1
あくまで北朝鮮が強硬姿勢で臨み、自暴自棄気味にミサイル発射、核実験等を強行すればアメリカは武力行使、日本は拉致被害者救出のため自衛隊を派遣。

■ケース2
北朝鮮が自重した場合は、平和裡に事を処理すべく交渉。北朝鮮指導層の亡命と引き換えに、日本政府は拉致被害者を奪還。

私は、これら2ケースを想定するが、北朝鮮の指導者が自暴自棄にならない限りは、後者で事が進むであろうと予想する。


既に、北朝鮮にとって軍事同盟国とみられてきた、ロシアも中共も、トランプ大統領、安倍首相分担して、動きにくい政治状況をつくられてしまった可能性がある。

今回の安倍首相の訪露に、「北朝鮮の逃げ道を完全に塞ぐ狙い」が込められていた場合、戦後の日本外交史上、稀に見る勝負手となる可能性大であることを指摘し、本稿を負える。

以上

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