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2017.03.06 (Mon)

批判文しか書けない(書かない)言論人  何が欠けているのか?

一介の市井人が書くにしては、生意気なテーマであることは承知している。
が、書かざるを得ないので書いている。

「ホンモノの思考力」(樋口裕一)という本がある。

ホンモノの思考力

それなりに売れた本であるが、アマゾン古書価格で、1円品が続出している。
要するに、読んだ大多数の人が、手元に置いておく理由がないとみなしていることを意味する。

が、1円品が続出しているからという理由から悪い本だと決めつける必要はない。きちんと読めば、部分的にはなるほどなあということは書いてあるのであるが、この本が扱うテーマ、内容から、なぜ批判文しか書けない(書かない)言論人が続出している理由をこの本の中に私は見出した。

言論人たちの批評の作法としての文章力は、(批評に限定すれば)私よりも数段上手いこと、その流麗な文体は、(そんなに深く考えない)一般社会の人々を納得させるものであることは否定しない。


著者は、思考の概念としての対象について、実社会の実相を想定しておらず、限定的でありすぎると私はみている。

見出しから察するに、「反論して論破すること」に思考のウエートがおかれている。

つまり、既に存在するもの、既に示された概念に対して、どう反論、論破するかという、思考方法の視点で、この本は書かれている。

対して、現実の政治、特に国政の世界はどうか?



8つの側面から国政は成り立っているのではないかと思う。

―――――――――――――――――

①選挙公約など、国家ビジョンの提言
②施政方針演説、長期計画等の策定、談話文等の作成
③国政に係わる種々の提言、今までなかった概念を国政に取り入れようとする試み
④上記に係わる立法措置、実施体制、財源確保等


⑤他の政党、他の議員が書いた政策の批判、添削
⑥外交、行政等に係わる調査、分析
⑦法案等の文書審査
⑧その他質疑・議論

―――――――――――――――――



著者は、文学部出身の学者、実社会経験がない。が、受験生向けの小論文の大家であるそうだ。
受験生レベルの作文ならそれでもいいだろう。
が、実社会、政治の世界を含めて、すべて適用可能とするには無理がある。この本には、書かれていない思考力に係わる領域が存在する。

それは、イメージ、概念等の文章化(定義、シナリオ化)、図式化等に係わる思考スキルに関することではないかと思う。

さて、実社会においては、既成概念が存在しない「無」から「有」を要求されるケースが多々ある。
私個人については、先輩諸氏が負け戦続きの仕事で、上司はおろか先輩諸氏が誰も処置できず、他の部署の仕事ぶりを指を咥えて眺めている状況で、「お前がやれ」と指名され専任でやらされたことがあった。

私は、反論・論破する対象も機会も与えられず、私の書いたもの、提言するものについて、上司・先輩・他の部署が(悪意で書くと)「ホンモノの思考力」のノウハウを駆使して、私に反論・論破しようとする立場におかれたことになる。上司、先輩、他の部署は、処方箋はおろか提言書すら書けないのに!である。

私が、私より年上である、団塊世代の先輩社員の一部を馬鹿にするのは(本来的には失礼な物言いであることは承知している)、仕事に対するスキル的未熟さ、心構えのなさを問題視しているからだなのだ。

あなたが同じ立場なら、こういう場合どうすべきか?
この本に書いてあるノウハウだけでは、突破は不可能である。なぜなら、当事者であるあなたが書類を作成し、会議を徴集しないと、議論のテーマを含めて何一つ決まらないからだ。



この場面で必要となる思考力は何か上記国政のケースでいうと①~④が該当する。

上述で紹介した、「ホンモノの思考力」というタイトルに沿えば、文言的には、①~⑧すべてに適用可能な思考力でなければならないが、この本で想定されている対象は、実は、⑤~⑧でしかない。
受験生向けならそれでもいい。

もちろん、創造、提案的なことは含まない。それを「ホンモノ」というタイトルまで付けて表現すべきなのであろうか?ということなのである。


少なくとも、タイトルを「大学受験小論文対策決定版」と書き換えるべきだった。



ただ、私の受験時代にこういう本はなかったが、あれば読んでいた。
受験生にとっては、良い本なのである。
私は、受験科目が、たったの3科目で小論文が受験科目に含まれる、有名私大を受験したことがある。数学はほぼ満点、英語は9割は確保、小論文では、鉛筆10本、消しゴム3つほど用意して、1時間程度の時間、悪戦苦闘したことがある。



そして、この本には、気になる部分がある。
実は、賛同する、共鳴する対象への配慮がない。
批判、反論する視点にウエートがおかれ過ぎているような気がする。

政治の世界は、同じ保守だとしても、主張が完全一致することはまずない。
個性的な政治家であればあるほど、そうなる。他の政治家の主張について賛同、共鳴するにしても、自分ならかく補強するという主張が生まれて当然なのだ。

他の政治家と区別して評価していただくためにも、提言は必要なのだ。

従って、余程の内容でない限り、(申し訳ないが)言論雑誌を読む気がしないのである。

なぜなら、言論人の書いたものの大半が、上記で言うと、⑤~⑧の領域に集中しているからだ。

二つのケースで示そう。
捏造慰安婦問題で、日韓合意に至る2カ月近く前に、相互に不可逆的みたいなキーワードを安倍首相が発した記事を産経?で読んだ記憶があるが、日韓合意文と安倍政権が処置すべき事項(シナリオと手順等)について、提言できた言論人はいたのか?
一部保守層から何かと批判が多い、安倍談話。私は何度も文章を眺めた。内容的には、アメリカ議会演説の延長線上で書かれたものであるのだが、言論人で、安倍談話の草稿を自主的に提出できた人はいたのか?
どちらのケースも上述の①~④の領域に属する。

そして、これら二つに今も反対される言論人に申しあげたい。日韓合意の外交文書、安倍談話に反対なら、全文について読まれきちんと添削結果を発表すべきだ。

その程度の事が出来ずして、言論人たる資格はあるのかと言いたい。



しかし、①~④の領域の思考力、文章化スキルを身につけるのは、簡単ではない。

それゆえ悩む、私も悩んだ、何年も悩んで来た。

それゆえ、生意気だと言われることを承知で、このテーマで書かせていただいたのである。

以上

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