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2017.02.10 (Fri)

生前譲位 西田昌司参議院議員への反論

最近、「皇室制度」(鈴木正幸、岩波新書)を読み始めている。
冷静な筆致は読んでいて、参考になる。
皇室制度


鈴木正幸は有識者会議にて講演したこともある。

第7回 皇室典範に関する有識者会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai7/7siryou1.html


さて、参議院にてヘイト法の与党の旗振り役と噂された、西田昌司議員が、生前譲位について、公式HPにて私見を発表している。

―― 参考情報 ――――――――――

天皇の退位等についての意見
http://showyou.jp/free/index.html?id=2518

―――――――――――――――――

読ませていただいた印象となるが、歴史認識事案についての西田議員の主張もそうだったが、

原理原則論が先立ち、

政治日程的な消化の可能性
なぜ今なのか、政治的タイミングの妥当性
国益的に有効なアプローチ
最善の結論が何なのか
最善の結論を導くために、どういう下準備が必要なのか

についても言及せず、やみくもに、議論だ、議論だ言い張る傾向が強い議員である印象がある。
石破茂の言動が産経で紹介されたが、西田議員も似ているような気がするのである。

―― 参考情報 ――――――――――

「Mr.クレーマー」石破茂氏、譲位の党内議論で執行部批判 自民総務会
http://www.sankei.com/politics/news/170127/plt1701270036-n1.html

―――――――――――――――――

進んで、国会を混乱させるような方向に誘導する必要がどこにあるのか?
西田議員は、倒閣を狙っているのであろうか?
そうでなければ、無意識でそうしていることになる?

明治時代は、国会が今以上に混乱した状況があったそうだ。

別な愛国議員と言われる女性大臣の事務所、議員が独裁者として振る舞っているという噂があるが、西田議員の事務所もそうかもしれない。だとしたら、秘書さんが気の毒だ。

以下、西田議員の意見について、私の考えを記す。


■論点1 明治以前の慣例を尊重するか明治以降を尊重するか

西田議員の意見は、こうなっている。

―――――――――――――――――

天皇の退位は皇室典範を改正して行い、将来の全ての天皇にも適用されるべきである。

理由

・退位は皇位継承の例外ではない

過去の124代の天皇のうち半数近い58方が生前に退位されているという歴史的事実を重視すべき。明治の皇室典範が退位を否定したことの方が例外である。
これに対して、日本国憲法下の天皇に係る議論において立憲制確立より前は参考にならないという有識者会議の意見がある。これは、天皇の本質が我国の歴史の継承の象徴であるということをあまりに軽んずるものであり、到底受け入れられない。

―――――――――――――――――

・私の意見
立憲君主制度導入以降に規定された皇室典範、すなわち、明治憲法での皇室典範は、退位を認めていない、またGHQ憲法においても退位を想定していない。よって、立憲君主制度下における議会制民主主義制度における一貫性確保という点において、退位を恒久制度化する必要を感じない。
明治時代の検討、決定において、齟齬、欠陥がないのであれば、それを踏襲して差し支えないというスタンスである。


■論点2 今、皇室典範の国民的議論が必要な時なのか?

西田議員の意見はこうなっている。
―――――――――――――――――

・明治の皇室典範の問題点

明治維新により、欧米列強の外圧から国の独立を守るため、我国は立憲君主制の近代国家になった。その際、皇室も急激な西洋化が行なわれた。皇室の伝統に則りながら法律ではなく天皇家の家憲として明治憲法起草者である井上毅らが作成したと言われている。急激な体制変換のため、明治当初は西南の役など不平士族の反乱が相次ぎ混乱した。そのため天皇の退位は伊藤博文の主張により政治的に封印された。退位を否定した明治の皇室典範は当時の政治的混乱を背景にした例外的措置と考えるべきである

・昭和の皇室典範の問題点

日本国憲法と同じく、占領中にGHQの指示により作られた。占領を円滑に執行するため、天皇の権威が利用された。一方、明治天皇の直系以外の皇族に臣籍降下を命ずるなど、今日の皇統の継続性に不安をもたらす原因となっている。さらに、本来家憲であったものを法律にすることで、伝統を法律の中に閉じ込めてしまい、日本人から歴史観を奪う原因の一つになっているが、正にそれがGHQの占領方針であったのである。
戦後を終わらせるためにも、憲法同様、皇室典範の作成された経緯を国民に知らしめ、国民的議論をすべきである。

―――――――――――――――――

・私の意見

(ヘイト法法制化にあたって、西田議員は保守層の意見を汲み取ったと言えるのか)
国民的な議論が必要だというなら、なぜヘイト法の法制化にあたって、保守層の意見に耳を傾けなかったのか、お伺いしたい。ヘイト法は、2月5日の在日中国人(帰化人)中共官製デモ?によって、欠陥だらけであることが露呈したではないか?

(タイミング的な問題)
そもそも政治的課題として、(皇室関係者には、失礼な言い方かもしれないが)皇室典範が最優先課題とは思えない。政権与党としては、憲法改正の議論を先行させようとしていることを理解している関係で、憲法改正後の議論として設定すべきだ。物事の優先順位の後先を考えず、ただ議論すべきだ、議論だという考えは、政権中枢の意図を汲み取っていないのではないか?
トランプ政権が発足し、日本政府が振り回される政治状況にあることを鑑みず、しかるべき準備もせずに、政権として取り組み、処理する余力が限られている中で、下手に、皇室典範について国民的議論した結果として、引き続き法制化したものとして扱われてしまうことを私は懸念する。

(審議拒否、代案なし、どうでもいい質問だらけの野党が相手で議論になるのか)
今、大騒ぎしたところで、憲法9条でさえまともな議論にならないのに、皇室典範について、大々的な議論を展開する政治状況にない。下手に議論を持ち込んで、政権支持率が下がることを私は懸念する。磯崎陽輔議員が指摘する「共通認識」が与野党の間で共有化されない限り(野党が議論するという認識を持たない限り)、今回審議の場は、常に低レベルの政争の類の駆け引きの場でしかないのではないか。
共通認識
http://isozaki-office.jp/

(皇室典範の作成された経緯について、政府が知らしめる義務)
私は、有識者会議に徴集された方、高橋正幸の「皇室制度」(岩波新書)を読んでいるが、この本には経緯的なことが網羅的に書かれている。
また、官邸の会議体の中に、生前譲位に係わる有識者会議の議事録が掲載されており、きちんと読めば参考になる箇所がある。私は、官邸HPに掲載された、過去の有識者会議資料などの存在から、政府は、皇室典範の作成された経緯を国民に知らしめていると考える。

―― 参考情報 ――――――――――

皇室典範に関する有識者会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/
天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/

―――――――――――――――――

政府が、議論の経過をこうして、公開しているのであるから、政権与党議員のお立場なら、有識者会議で講演された方の中で、参考となりそうな情報を選んで紹介すべきではないか、と申しあげたい。


※参考 西村眞悟元衆議院議員の意見
皇室典範の本質を観よ
http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1217&premode=year
本来の有識者会議の為すべきこと
http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1254&premode=year


■論点3 憲法が規定するのは、公人としての天皇のご意思なのかそれとも私人としてなのか?

西田議員の意見はこうなっている。
―――――――――――――――――

・有識者会議の問題点

有識者会議では、今上陛下のご意向に沿って制度改正したということになると、憲法の趣旨に反するのではないか等、天皇の意思を尊重することに対して、過剰な拒否反応をしている。天皇を国民統合の象徴とし国民の崇敬の対象とする一方で、現実には天皇を法律の中に押し込み、その意思を尊重することも憲法違反だとするのは、天皇の人間性を全く無視するものであり、日本人の伝統精神に反するものである。
天皇を憲法と皇室典範の中に押し込めた結果が、有識者会議をして天皇の尊厳を軽視せしめることになった訳で、正に占領政策の術中に今もはまっている。

―――――――――――――――――

・私の意見

(難解過ぎる?意味不明?)
「現実には天皇を法律の中に押し込み、その意思を尊重することも憲法違反だとするのは、天皇の人間性を全く無視するものであり、日本人の伝統精神に反するものである。」という文章、難解過ぎて、私は理解できない。意味不明な文章という見方をしている。日本人の伝統精神についてのわかりやすい定義もない。

(譲位後に天皇が何を為されるおつもりなのか、想定しているのか?)
「皇室制度 ー明治から戦後までー」(鈴木正幸)に、GHQ見解として興味深い記述がある。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

220~221頁
退位は認められず

新しい皇室典範案も、明治皇室典範同様、天皇の退位・譲位を認めていなかった。
これについてのGHQの態度は興味深い。「皇室典範案に関する交渉の経緯」(一九四六年一二月)には、つぎのようにある。

当初司令部側は、皇位継承の原因を、天皇崩御の場合に限ることについては、自然人としての天皇の自由を拘束し過ぎるとして、天皇の退位の事由を認むべしとする意向を示していたが、臨時法制調査会に於ける審議の段階に於て、これを放棄した。これは総司令部係官の間に、天皇の退位を認める場合は、野心的な天皇が退位して政治運動に身を投じ、前天皇としての有利な立場を利用して、内閣総理大臣にでもなると云うようなことがあっては困るから、却って退位を認めない方がよろしいと云う意見が出た為である。

これはいかにも欧米的発想であった。当時国際世論は昭和天皇に対してきびしいものがあり、天皇退位も議論されていた。昭和天皇自身、一次は「戦争責任者を連合国に引渡すは、真に苦痛にて忍び難きところなるが、自分が一人引き受けて退位でもして納める訳には行かないだろうか」と木戸幸一内大臣に語っていたことがつたえられている(『木戸幸一日記』一九四五年八月二九日)。したがって、あたらしい皇室典範に天皇退位規定をもりこめば、逆にそれが昭和天皇退位をうながす可能性もあった。この意味でも退位・譲位規定は排除されなければならなかったであろう。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

GHQは、譲位後に天皇が、政治家に転出することを予想し、退位に反対したのである。
拙ブログは、譲位後に、前天皇、新天皇が、内閣の助言と承認を得ず、中国、韓国、北朝鮮に対し「皇室自主外交」を行うのではないかと懸念している。

(天皇の憲法遵守義務)
天皇陛下は憲法99条にて憲法遵守が義務づけられている。政権与党のお立場なのであるから、その前提で書くべきだ。
「占領政策の術中にはまっている」という理由で憲法をないがしろにしていいととれる発言は、政権与党議員として言うべきことではない。
そもそも摂政という制度があるのに、陛下ご自身の公的なご発言の場において、それを受け入れようとされない、陛下による合理的な理由が示されていない以上、陛下の意思を尊重しなくてはならない事由があると思えない。
仮に押し付けられた憲法であったにせよ、公人、私人境目なく、天皇陛下の意思を尊重しなくてはならないという、前提が必要とは思えない。もちろん、憲法が規定するのは、公人としての天皇であるべきだ。
また、悪法でも法律であると解することで、政権与党として、憲法違反と解される陛下の行為を正当化すべきではない。悪法だから無視していいという趣旨の主張は、政権与党議員として言うべきことではないだろう。

※参考 西村眞悟元衆議院議員の意見
天皇はGHQ憲法の枠外におられる
http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1253&premode=year


■論点4 有識者会議の議論より国民的合意を重視すべきか

西田議員の意見はこうなっている。

―――――――――――――――――

・国民的合意

有識者会議では、特別法の制定も提案されている。しかし、有識者会議の議論は先述の様に日本人の伝統精神に必ずしも叶うものではない。マスコミでは民進党と共産党も皇室典範を改正して、退位を恒久的に可能にすべきと報じている。また、世論調査においても国民の多くが皇室典範の改正による退位に賛同をしている。天皇の退位問題は、国民的合意が必要である。また、与野党が対立すべき問題でない。有識者会議の議論より国民的合意を重視して、皇室典範の改正して退位を認めるべきである。

―――――――――――――――――

・私の意見
西田議員の主張の中で、「与野党が対立すべき問題でない」という点については賛同する。
政権は、世論調査結果を踏まえ、生前譲位を認める方向で、徐々に、検討を進めている。「有識者会議の議論より国民的合意を重視する」という意見は、準備ができていないのに急ぎ過ぎにみえる。じっくり時間をかけようとする、政権中枢の意図を察しようとする努力が足りないのではないか。
国会の場で論点不整理状態で大騒ぎするより、有識者会議の場でじっくりやっていただいた方が、安倍政権支持層としては安心である。
「マスコミでは民進党と共産党も皇室典範を改正して、退位を恒久的に可能にすべきと報じている」と書いているが、今、日本で信用できないのが、マスコミであり、民進党であり共産党であると認識しており、マスコミ、民進党、共産党の主張を引用すること自体、政権与党議員としていかがなものかと思う。
なお、「国民的合意を重視する」という文言については、ヘイト法法制化に関連して自民党がとった措置は、「真正日本人の保守層の意見」よりも「民団に主導される、在日韓国人、韓国人帰化人の意見」を重視したと、私は解している。これ以上、韓国民目線での国会対応はおやめいただきたい。


■論点5 憲法改正と皇室典範の改正をセットにすべきか?

西田議員の意見はこうなっている。

―――――――――――――――――

・占領政策の見直し

GHQの占領政策の一環として皇室典範と憲法はセットで作られたが、皇室典範の改正が可能になれば、憲法改正に向けて大きな一歩を踏み出すことになる。憲法と同じく占領政策の見直しとして皇室典範の改正を議論すべきである

―――――――――――――――――

・私の意見
本来は、憲法改正とセットで議論すべきである。が、市井の民間人の視点でみて、安倍政権がトランプ政権に振り回されることが目に見えていること、その他政策スケジュールの過密状態、国会審議で議論にすらならない野党の国会審議対応実態などを勘案すると、今すぐ憲法改正とセットで議論しても国会が混乱、安倍政権の支持率が下がる結果をもたらすだろうと予想する。
この種の発言をされればされるほど、政権中枢は西田議員と距離を置くだろうと推定せざるを得ない。
すなわち、タイミング、スケジュール、優先順位等を考慮しない意見と申しあげたい。
(議論が為されていない、議論が必要だと執行部批判を続ける)石破茂が、産経で叩かれた理由を理解すべきである。西田議員は、無意識に、石破茂と同じようなことをやっているのだ。


■論点6 用語の使用

保守色の強い全国紙、産経は、「生前譲位」という用語に切り替えている。西田議員は、保守系議員という自覚あるなら、産経に倣って、「生前譲位」という用語使用とすべきである。


以上
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