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2016.11.10 (Thu)

トランプ大統領の政治哲学? そもそも日本の学者はアメリカ固有の保守主義的政治思想を知らない

標題に掲げた趣旨のことが、中川八洋「保守主義の哲学」に書いてある。

この本のまえがきから引用、転載する。日本の学者が如何に、保守主義的政治思想に疎いか、その経緯が書いてある。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

まえがき

日本が英米の保守主義の哲学を初めて知ったのは、明治の元勲の一人、伊藤博文に仕えた金子堅太郎(一八五三~一九四二年、伯爵)の紹介によってである。一八八一年刊の『政治論略』がそれであり、エドマンド・バークの主著『フランス革命の省察』と『旧ウイッグは新ウイッグを裁く』を抄訳したものであった。また堅太郎は、米国の「建国者たち」であるハミルトン/マデイソン/ジェイの『ザ・フェデラリスト』も愛読していたから、英米保守主義の正統な古典を最小限ではあるが正しく学んだ最初の日本人であった。バークとハミルトンこそは保守主義哲学の両輪であり、その理解のためには、バークだけでなくハミルトンを疎かにしてはならないが、この双方を読んだ最初の日本人が堅太郎であった。

堅太郎の英米保守主義の知見は井上毅を通じて明治憲法の血肉の一部とはなりえたが、政界に身をおく堅太郎は弟子をもつことのできる学者でなかったし、堅太郎以外の誰一人としてそれを研究するものが現われず、ついに堅太郎を最初かつ最後にして、英米の保守主義思想はその存在すら日本では忘却された。

中略

このためバーク哲学の研究者すら過去六十年という歳月がああって、(翻訳家を除き)私を含めてほぼ数名しかいない。バーク哲学の基層をなす英国のコーク/ヘイル/ブラックストーン等の保守主義の英国法思想を研究する者も、過去三名ほどいたことが確認されるが、(私の知る限り)単著の研究書は一冊も刊行されていない。現在、研究者は一人もいないようである。
ハミルトン/ジョン・アダムス/マデイソン(前期)らの米国保守主義の政治思想については、ジョン・マーシャル/ジェームス・ケント/ジョゼフ・ストーリ/ダニエル・ウエブスターらの米国保守主義の法思想とともに、日本にはどうやら今も昔も研究者がほとんど存在しない。

そもそも米国がバークに匹敵するハミルトン的保守主義の哲学をもって建国されたことを日本で知るものは限りなく零に近い。戦後日本では、アメリカ研究者たちがあれほど数多く活躍しながら、彼らは米国の根幹である保守主義を知っていて知らないふりをして、それをまったく存在しないことにした。たとえば、ハミルトンを大切に育て、思想的には「ハミルトンのクローン人間」であったジョージ・ワシントンのもと、新生の米国は、反デモクラシーを基調として、もしくはデモクラシーをいかに制限するかにあらゆる工夫をこらして建国され、封建遺制の香りが残る一世紀ほど昔の十七世紀的な英国保守主義を継承する国家として船出した。この根幹的な歴史事実すら、日本では完全に抹殺された。

日本の学界が英米の保守主義思想を極度に無視する傾向は、今日でもまったく変わっていない。

日本は明治維新以降、欧米思想の大輸入をやったにもかかわらず、保守主義の思想家はひとりも現われなかった。あえて保守主義的思考をする知識人を挙げるとしても、井上毅と輿謝野晶子の二名ぐらいしかいない。

中略

明治憲法を起草した井上毅の思想は、鉄人であった第二代米国大統領のJ・アダムスによく似ている。歌人の輿謝野晶子は、バーク主義者であった英国のマーガレット・サッチャーに通じている。

中略

英米の保守主義の哲学が日本を救いうる、この世に存在する唯一の知であるとすれば、遅きに逸したようではあるが、それを緊急湯習近平するのが、日本に高貴なる精神を回復させ、日本を祖先の英知に結びつけ、国家の永続していく生命源を”保守”する確実な方法である。光輝ある日本国の悠久のために、子孫に「世襲の義務」を果たすには、現在の日本国民の一人一人が保守主義に立脚するべきなのである。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||



私は、トランプ大統領は、アメリカ固有の保守主義的政治思想に従って、決断、行動するとみている。
中川八洋の説のとおりであるとの立場に立てば、日本の政治学者たちの中で、トランプ大統領が採用するであろうと予想する、アメリカ固有の保守主義的政治思想の研究者は皆無ないし、いてもほんの一握りということになる。

テレビ出演機会の多い、政治学者と称する者の大半が、政治思想的にリベラルである関係でアメリカ固有の保守主義思想を学問的に理解できていないとみなることができる。(特に、TBSサンデーモーニングに出演される学者と称する方々)

要するに、テレビ出演する政治学者と称する方々の話を聞く暇があったら、中川八洋推薦の本を一行でも読破した方が、トランプ大統領と渡り合うのに有利となるばかりか、安倍政権ひいては官邸スタッフの政策立案支援に役立つであろうことを指摘し、本稿を終える。

以上

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