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2016.09.02 (Fri)

政治の技術  憲法改正の切り口をどう見出すか?

憲法改正について、安倍首相が「政治の技術」というキーワードを用いたことについて、私は興味を持っている。

「政治の技術」、どういう手法を指しているのか、言った人しかわからないことではあるが、こういうアプローチであるいはこういう切り口で憲法改正について、政権が意志表示した場合、世論は肯定的に受け止めるであろうことを、官邸は世論調査結果の傾向などからほぼ把握しているだろうと考える。


たとえば、今上陛下のお言葉、生前譲位を実現するには憲法改正が必要であり、お言葉発言は、そのための根拠となるはずだ。

象徴としての天皇の生前退位(譲位)問題を考える視点
http://blogos.com/article/186358/

もとより、天皇の政治発言は憲法で禁止されている。従って、何をどうお望みになられているのか?その解釈に厳格である必要はないが、世論は今上陛下のご発言に概ね賛意を示している関係で、政権側として「政治の技術」として、憲法改正の口実に「生前譲位」に係わる条項を組み込みやすくなった。


そういう考えが前提にあって、憲法9条を軸に、どういうスタンスでなら憲法改正しやすいのか、検討を試みた。

―――――――――――――――――

憲法改正シナリオ  個別自衛権をどう認識・定義・取り扱うのか?
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-90.html

■ケース1 緊急事態条項を中心とする改憲を模索(憲法9条についてはファジーな対応)

アメリカの次期大統領が、日本の(段階的)改憲を促すスタンスをとり、中共がこれ以上の軍拡をしない場合

集団的自衛権の解釈変更→改憲として扱う(事後処置的改憲、9条に追記)
個別自衛権の取扱い→解釈明確化?(改憲対象外)、自衛隊法改正
緊急事態条項の新設により、2/3条項を骨抜きにする?

緊急事態条項で改憲の発議を 日本大学教授・百地章
http://www.sankei.com/column/news/150504/clm1505040001-n1.html

<憲法改正>安倍首相が創設を目指す「緊急事態条項」とは?
https://thepage.jp/detail/20160213-00000005-wordleaf


■ケース2 国連憲章ベースでの改憲を模索(憲法9条については国連憲章ベースでの対応)

アメリカの次期大統領が、中共の更なる軍拡を懸念、国連での日本の役割強化(常任理事国入り)、日米安保強化の視点から、自衛隊の役割強化、日本国憲法の広範囲な見直しを求めた場合

集団的自衛権の解釈変更→改憲として扱う(事後処置的改憲、9条に追記)
個別自衛権の取扱い→解釈明確化?あるいは9条に追記?、自衛隊法改正
緊急事態条項は新設


■ケース3 日本国憲法の大幅な見直しを模索(憲法9条抜本改正)

アメリカの次期大統領が、日本に(性急な)改憲を促すスタンスをとり、中共との軍事紛争が避けられない場合

国連憲章ベース以上の強力な改憲スタンス
集団的自衛権の解釈変更→改憲として扱う
個別自衛権の取扱い→改憲として扱う、自衛隊法抜本改正
緊急事態条項は新設

―――――――――――――――――

憲法改正に係わる、9条の取り扱いについて、3ケース想定した。


その後、政権中枢の反応を読む限り、憲法9条改正を、いの一番に持って来ない、政治状況にある。

参議院選挙後、政権中枢が、余計なことは言わない雰囲気にある。このことは、上述の検討レベルでは、いささか荒っぽ過ぎたことを意味する。

おそらく年内は憲法改正手続きについては、言及せず、ロシアのプーチン大統領との外交交渉に注力、その成果を提げ、支持率をさらに上昇させてから、改正発言する腹積もりではないかと予想する。


政権が、「政治の技術」という言葉を対応しようとしているのは、迂回あるいはファジーな対応を想定しているからなのであろう。

憲法改正は「わが党の案をベースに3分の2を構築する。まさに政治の技術だ」
http://www.sankei.com/politics/news/160711/plt1607110206-n1.html

実際、議席上は、この言葉どおり3分の2を構築した。


だが、世論調査結果はどうか、真っ正直に憲法改正に突っ走り、正攻法で9条改正を口にできるほど、世論は覚醒というか、憲法改正について肯定的ではないのだ。

民共支持層も改憲容認 9条抜きなら「賛成」約6割
http://www.sankei.com/politics/news/160719/plt1607190054-n1.html

自民党支持者層でもそうなのだ。ある会合に参加した印象を言うと、そう積極的でもないようだのだ。
それゆえ、政権としては、憲法改正は指向しつつも、政権交代リスクというか、支持率低下ショックが少ない、「迂回したよりファジーな筋道」を編み出す必要が出てくる。

ここで、次の臨時国会で法制化を予定しているとされる「共謀罪」的性格を持つ、「テロ等準備罪」を参照したい。

【サヨク絶叫】安倍政権、東京五輪対策で「テロ等準備罪」新設案 過去に廃案の「共謀罪」から適用対象を絞って国会提出へ
http://hosyusokuhou.jp/archives/48308085.html

ターゲットとして、護憲的性格を持ち脱法的行為が日常化する活動(沖縄米軍基地活動など)に係わる外国人活動家、日本人になりすました国内組織関係者となるだろう。

この法案の法制化と憲法改正、どういう関係があるのか。

安倍政権が近い将来、意志表示するであろう、憲法改正発議に際して、外国人活動家による政治活動を、「共謀罪」という口実で、一網打尽にすることを狙っているのではないか………

ある程度、先鋭的な勢力の動き、特に外国勢力の影響下にある活動を止めてから、憲法改正案原案の発議にとりかかるシナリオがあるのだ。

そうすることで、組織的な脱法行為はもちろん、安保法制審議期間中に見られた、左翼勢力による「組織的かつ行き過ぎたレッテル貼り」を封殺でき、憲法改正が実現しやすくなる。


では、そういう状況で、何を切り口に最初に発議、憲法改正するのかというと、いきなり現条文を改正するのではなく、

上述で法制化予定の、「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」(テロ等組織犯罪準備罪)に対応する「テロ等に対する緊急事態条項」新設を意図しているのではないか。

「テロ等準備罪」法制化を予定しているのであれば、政権はこう説明するのではないだろうか。

―――――――――――――――――

既に、テロについて対応、捜査、処罰するための個別法はできている。
しかし、政権として、起こされたテロ等によって引き起こされた非常事態の対応(犯罪捜査、武力行使、復旧など)に対し、国民の生命と財産を守る政権として、迅速かつ確実な対応をするには、テロ等によって引き起こされた非常事態に限定した官邸、内閣の権限行使(強化)について、憲法で明確に規定する必要がある…………

テロリストが仮に外国人だったとして、テロ協力者が日本国内にいることが確認された場合、その捜査、捕縛、処置等、迅速に意思決定する必要が出てくる。

そのために、緊急事態条項新設が必要…………

―――――――――――――――――

これは、「政治の技術」として、安倍政権が何かと法制化に熱心だった、テロ対策を軸に、法制化済のテロ3法、法制化予定の「テロ等準備罪」を含め、憲法改正の口実とした場合のシナリオである。


では、本丸の9条について、似たような手法を適用できないかというと、(「テロ等準備罪」の手法から)、要件を限定し憲法改正に臨むことが考えられる。

具体的には、細則、雑則的性格を有する条文として追記する手法が考えられる。
内閣法制局は、体裁的に乱れる?ことを嫌い、手法的に邪道だと判断するかもしれない。が、政権として内閣法制局を掌握しているならば問題はないとみる。



素人作文で恐縮だが、(シナの大量の漁船による領海侵犯事案があった直後なので、書かずにはいられない心境であるため)、作文を試みる。

―――――――――――――――――

①偽装民兵が乗り込んでいる大量の漁船等による領海侵犯については、外交ルートによる要請に対し期限付きで対応しない場合、国家的意図に基づいて、領土奪取を意図していると判断、その除去のため、自衛隊による武力行使を認める

②複数の外国公船による領海内での主権侵害行為については、外交ルートによる要請に対応するつもりがない(偶発的なものではない)と判断、その除去のため、自衛隊による武力行使を認める

③他国正規軍による領空・領海侵犯事案については、日本への攻撃ないし日本国領土奪取を目的とすると判断される場合、当該作戦活動の当初から領空・領海侵犯を意図したと認められる場合(偶発的なものではないと判断される場合)、当該国にて領空・領海侵犯常態化を意図が認められる場合、日本国民の生命財産を棄損する意図が認められる場合、自衛隊による武力行使、交戦を認める

―――――――――――――――――

解釈的な性格を有する文章を、敢えて憲法に付け加えるという手法、邪道かもしれないが、9条アレルギーがあるうちは、9条に細則・雑則的に追記することは仕方あるまい。


これも「政治の技術」という範疇に入るかもしれない、。

要するに、「要件を限定して、細則、雑則的に追記する憲法改正」であれば、「政治の技術」として実現はそう困難ではないかもしれないことを指摘し、本稿を終える。

以上

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17:32  |  法整備  |  トラックバック(1)  |  コメント(2)

Comment

基本的にこの基準は妥当とされるでしょう

先制攻撃は禁止する。
(警告しても、我が国の領域を出ていかない場合や我が国に確実に被害をもたらすようなコースを進むミサイルは、攻撃しても差し支えない。)
集団的自衛権は、当該国の領域の保全のためのものに限定する。(分かりやすく言えば、第二次朝鮮戦争に参加したとしたら、38度線までは進軍するが、それ以上は進まない。)
国連の指示の範囲内での行動は認める。なお、日本の意志ではなく、各国の意志の集合という性質を強めるために、安保理は慎んで辞退し、総会の武力を用いる決議の場合には、棄権するようにする。
ここまで限定した場合は、侵略的で平和主義に反するという理由をつけるのは難しいといえます。
Suica割 |  2016.09.04(日) 18:48 | URL |  【編集】

Re: 基本的にこの基準は妥当とされるでしょう

> 先制攻撃は禁止する。
> (警告しても、我が国の領域を出ていかない場合や我が国に確実に被害をもたらすようなコースを進むミサイルは、攻撃しても差し支えない。)
> 集団的自衛権は、当該国の領域の保全のためのものに限定する。(分かりやすく言えば、第二次朝鮮戦争に参加したとしたら、38度線までは進軍するが、それ以上は進まない。)
> 国連の指示の範囲内での行動は認める。なお、日本の意志ではなく、各国の意志の集合という性質を強めるために、安保理は慎んで辞退し、総会の武力を用いる決議の場合には、棄権するようにする。
> ここまで限定した場合は、侵略的で平和主義に反するという理由をつけるのは難しいといえます。


投稿された文章についても「付則的な条文」として追記されるにふさわしい内容と思います。
生前退位の件も付則的条文を追記するとの政府方針だそうで、今後この種の手法が広く採用されると予想します。
事務局 |  2016.09.05(月) 18:15 | URL |  【編集】

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