FC2ブログ
2018年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

2018.09.17 (Mon)

原発・火力コストの比較手法の改善について

本稿、原発・火力のコスト計算方法に係わる資源エネ庁のコスト試算結果の問題点についてまとめたもの。
具体的には、経理帳簿で突き合わせしないと確定しない。

本題に入りたい。

原価計算方法にはいろいろ原則があるそうだ。
その昔、原価計算に係わる、古典的な名著を読んだことがある。
それによれば、正確、公正、公平さを維持する前提で、原価は配賦されるべきと書いてあったと記憶する。(用語的には正確な表現ではないかもしれないが、そういう意味に解している)

その視点で、原発コスト試算方法、比較手法について、二つの視点から論じてみたい。


1.廃炉費用を原発コストに含めて試算する方法が存在するのではないか?


資源エネ庁は、原発の発電コストが、総じて火力よりもやすいとする検討データを公表している。

―― 参考情報 ――――――――――

2017-10-31
原発のコストを考える 資源エネ庁原子力政策課
http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html

―――――――――――――――――

上記資料は、発電コストという用語を使用しているため、廃炉費用も送電コストも含まれていない。

私は、この試算結果の検討にあたって、年間10人くらいの公務員(外部委員含めて)が常時配置されているのではないかと疑っている。10人=年間2億円。個別政策のために、、、

本当に安いなら、こんな詳細な資料を必要としないはずである。
逆に言うと、それほど安くないので、何としても、数字を加工してでも、安いと発表したい動機があるのかもしれない。

官民の原子力エリートたちは言い続けてきた。原子力は安いと!

多くの人は、これを信じないはずだ。
上記資料では賠償コストが含まれているようだが、廃炉費用が含まれていないからだ。
資源エネ庁は言うだろう。発電コスト(発電端)なので、廃炉費用も送電コストも除外されるべきと。

ならば、上記に追加して、こういう比較方法があると、我々は資源エネ庁に指摘すべきだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

原発と火力のコストの比較手法1

■資源エネ庁試算方式(廃炉費用除外して比較する手法)

詳細上記「原発のコストを考える」による。

■発電コストに廃炉・除却費用を加えて原発と火力のコストを比較する手法(私案)

・原発発電コストに、廃炉・除却費用を加算する(運転年数均等に原価償却したとして試算する手法)
・火力発電コストに、除却費用を加算する(運転年数均等に原価償却したとして試算する手法)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この方法ならば、原子力の廃炉費用込み、火力の除却費用を含むことになるので、コスト試算的に比較は可能だ。


2.送電コスト(発電所から主要変電所に至る区間)を原発コストに含めて試算する方法が存在するのではないか?

東電の柏崎刈羽という大規模原発の場合、首都圏の主要な大規模変電所まで100万KVの専用線で送電されていると記憶している。

上記の原価計算本の趣旨に従うと、柏崎刈羽から首都圏の変電所までの送電線建設コストや維持コストも原発原価に含まれると考える。なぜなら、原発専用線であるからだ。

同様の発想で、東電の東通り原発の首都圏までの専用線、電発の大間原発の首都圏までの専用線については、主要変電所に至る区間は原発原価としてカウントすべきと考える。

これは、原価計算配分判断がしやすいケースの場合の判断である。

そうでない場合を想定したい。原価計算上、やっかいなケースとして、原発建設と同時期に、当該供給区域における、主要送電線網が拡充されたケースを想定したい。大停電発生した、北海道のケースで考えるといいだろう。
送電線拡充目的は、深夜帯の原発の電気をより広範囲な供給区域に安定的に供給するためであろうことは明らかだ。この送電線の建設コストがトータルで仮に数百億だったとして、特定の基準日における送電線潮流上の発電ウエートが、昼間は仮に原子力50%・火力50%だったとして、特定の基準日の深夜帯における送電線潮流上の発電ウエートが仮に原子力90%、火力10%だった場合、この新設された主要送電線の建設コストは、ひょっとすると原子力70%火力30%くらいの比率で配分すべき性格のものであるように思う。

が、送電線建設コスト配分上は、特段、計算方法の指定がない場合は、原子力も火力も、等しく加算されている(発電実績ベースではなく、認可出力ベースで加算されている?)のではないかと推定する。発電していないくても、発電原価に加算されている場合は、原価計算的には、正確・公正・公平とは言えまい。

つまり、実質的送電コスト上(正確・公正・公平に原価計算した場合)、仮に原子力70、火力30となっている可能性大であるならば、火力は不当に高い電源として扱われていることを懸念するのである。

原発が安いとされる神話?は、ひょっとすると、専用線や基幹送電線に係わる実質コストが正確・公正・公平に配分されていないことで編み出すことが可能となった?ことを疑っているのである。

正確・公正・公平な視点でコスト比較していると言うなら、発電所から主要変電所までの送電コストは、原子力であろうと火力であろうと、それぞれコスト比較に加えるべきなのだ。

そういう意味で、電力会社において、送配電部門について、原発・火力と送配電部門を経理的に分離・独立してカウントする必要は十分にあると考える。

見方を変えたい。

電力系統工学においては、増分燃料費理論なる理論が幅を利かせている。

―― 参考情報 ――――――――――

電力系統における火力ユニット間の経済的負荷配分の検討(増分燃料費特性が極小値を含む2次曲線で表わされる場合)
http://jairo.nii.ac.jp/0065/00006432/en

―――――――――――――――――

詳しく調べた訳ではないが、この理論は、遠隔地送電に伴う送電ロスを補正する理論は含まれていないようだ。一旦建設、運転してしまったら、原発の燃料費は、化石燃料よりも安いという前提での理論に基づく、「簡便法的な」発電所負荷配分理論のような気がする。

従って、国家的見地に立つと、大規模な原発設備であればあるほど、計画・建設時点で、当該原発コストが、火力よりも安いことを説明する必要が出てくる。

つまり、こういうことになる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

原発と火力のコストの比較手法2(発電設備だけでコスト比較するのではなく主要送電設備込みで比較する手法)

■資源エネ庁試算方式(発電コストだけで比較する手法)

①原子力発電コスト
②石炭火力発電コスト
③LNG火力発電コスト

■発電コストに送電コストを加えて原発と火力のコストを比較する手法(私案)

①原子力発電コスト+専用線・新設された基幹送電線の、原価償却コスト、送電線維持コスト
②石炭火力発電コスト+専用線・新設された基幹送電線の、原価償却コスト、送電線維持コスト
③LNG火力発電コスト+専用線・新設された基幹送電線の、原価償却コスト、送電線維持コスト

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

何を言いたいか?
資源エネ庁の試算方式が発電端でのコスト比較であるのに対し、私案は大規模変電所地点ベースでのコスト比較であることに気づかれたと思う。

石炭火力増設の場合の基幹送電線新設コストは、原発よりは少なめ(比較的短距離)であろうと推定する。LNG火力増設の場合の基幹送電線新設コストは石炭火力よりも少なめ(短距離)であろうと推定する。

つまり、環境特性に優れ、需要地近傍に立地したLNG火力が、発電設備、送電設備込みで評価すると意外に低コスト(発電所、送電線トータルでのコスト)の可能性があるのだ。

実際、東京電力は、東京湾岸沿いに、大規模LNG火力をずらりと配置している。需要地近傍に設置されているがゆえに、コスト的に、LNG火力のコスト優位性があるように思えて仕方がないのである。


3.本稿の結論

そこで、資源エネ庁原子力政策課が、あくまで、「廃炉費用を除外し原発発電コストを試算」したり、あくまで、「原発専用線や新設された送電線(専用線)の原価償却、送電線維持コストを発電方式別の原価比較対象から除外して試算」する理由はどこにあるのか、ということになる。

それは、官界の天下り先の確保、メーカーや電力会社内での立身出世を願う、官民の原発エリートたちによって、コスト戦略として仕組まれた結果ではないのか。

我々は、そのせいで、原発は安いと、官民協調の原子力エリートたちに惑わされてきたのではないのか。

私が主張しているのは、資源エネ庁が消費者を欺いていないというなら、廃炉コストや送電線コストを比較対象に加えるべきだと言うことである。

これまで我々は、反論する手法が見つからないので、反論したくてもできなかった。
それゆえ、本稿では、コスト論争するための原価計算手法を紹介したつもりである。

私は、原発をゼロにしろというスタンスではない。全台停止に至った原発は再稼働させるべきだし、廃炉にすべき原発は順番に廃炉を検討すべきと思っている。

原発推進派、再稼働推進派であるものの、福島原発事故発生以前において、官民やり過ぎ(原子力発電所をつくりすぎた、さして安全でないものまで安全だと言い過ぎた、廃炉すべきものまで運転継続させ過ぎた)と思われる部分があり(あくまで主観的判断)、それを一部是正すべきだと考え、その視点から論じてみたいだけなのだ。

悪くとらえると、一言で言うと、官民共同で、過剰に?我々にばら撒かれた「原発は安い」という神話は、官民の原子力エリートが仕組んだものであろうと、疑っているのである。

そういう前提で、本稿のまとめに入りたい。

正確かつ公正かつ公平な原価計算手法であろうとすればするほど、冒頭で紹介した資源エネ庁のPR文書だけでは説得力がない、と考える。
多くの消費者は、福島原発事故のせいで、福島原発については、当初設計について改善点があるにも係わらず、東電は当時公募増資した直後で資金的に潤沢であったにもかかわらず、老朽化した原発の設備改造が先送りされたことを知っている。
また、同様に、資源エネ庁が継続的に拡散してきた原発神話(原発は安全、原発は低コスト)については、実態を調べると無理があり、安全神話が崩れた今、低コスト神話を従来どおりのスタンスで継続しようとしても説得力を持たない。

なぜなら、再稼働に賛同する人は一定数いても、原発新設に賛同する人は激減したように見えるからだ。

ならば、原発新設に際し、廃炉・除却、遠隔地送電コストをコストを含めても原発が安いことを証明する必要がある。正確・公正・公平であろうとするならば、発電コストだけの比較では不十分であるのは明らかだ。

そういう意味で、本稿は、資源エネ庁原子力政策課が作成したPR資料の改善の必要性について指摘、提言したことになるだろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

資源エネ庁 原子力政策課のコスト試算方法の改善について(私案)

従来の、発電コストベースでの原発・火力のコスト比較に、以下の三種類の試算結果を追加し、公表する。

■発電コストに廃炉・除却費用を加えて原発と火力のコストを比較する手法

・原発発電コストに、廃炉・除却費用を加算する(運転年数均等に原価償却したとして試算する手法)
・火力発電コストに、除却費用を加算する(運転年数均等に原価償却したとして試算する手法)

■発電コストに送電コストを加えて原発と火力のコストを比較する手法(私案)

①原子力発電コスト+専用線・新設された基幹送電線の、原価償却コスト、送電線維持コスト
②石炭火力発電コスト+専用線・新設された基幹送電線の、原価償却コスト、送電線維持コスト
③LNG火力発電コスト+専用線・新設された基幹送電線の、原価償却コスト、送電線維持コスト

■発電コストに廃炉・除却費用、送電線コストを加えて比較する手法

上記2つの試算を加算して比較

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

官民の原子力エリートが、正確・公正・公平に原発コストを論じるつもりがあるなら、より実質的かつ実態に即した手法でコスト試算し、その結果を公表すべきである。

資源エネ庁原子力政策課が、発電コスト比較資料をどんなにいじろうと、今までのように消費者は騙されないし、原発推進派も納得しないだろう。(予想)

資源エネ庁は、上記記事(原発コストは火力よりも安いという趣旨の記事)をPRすることで省益的に得るものがある。それは、天下り先(メーカー、電力会社)であろう。

再稼働が延期されていることもあり、官界の原子力エリートたちは政治的パワーを失いつつある。
私は、原子力エリートの存在をすべて否定しているのではない。やり過ぎた部分は是正されるべきとのスタンスである。

これ以上、そういう噂を立てられないためにも、国家的規模でのコスト比較は、以前よりもより正確・公正・公平でなくてはならないと考えるのである。


以上

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 環境・資源・エネルギー - ジャンル : 政治・経済

15:14  |  政府機関  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

Comment

コメントを投稿する

Url
Comment
Pass  編集・削除するのに必要
Secret  管理者だけにコメントを表示  (現在非公開コメント投稿不可)
 

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/tb.php/1121-e1184d0a

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | HOME |