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2018.09.11 (Tue)

地震による大規模停電  パニック消費を想定すべきだった?

北海道で発生した大規模停電、いろいろな人がいろいろな視点で述べている。
私は、実はそのどれにも納得していない。

テレビに登場する人、論説主幹、消費生活アドバイザーは、発表された大半の情報が速報レベルの情報に過ぎないにもかかわらず、正確なデータに基づく最終報告書が出ていないのに、とりあえず入手できた情報を拡大解釈するなど、分析らしい分析を怠り、起きた大事故について、「事業者の想定の甘さ」と一刀両断を下す専門家が多いという印象を持っている。

他人の失敗は蜜の味的感覚で語りたい人たちが多いということだ。

今回の大停電、予想しなかった現象が起きている気がしている。
そこで、仮説を立てることにした。仮説が正しいかどうかは、大規模停電の最終報告書が出揃って、本当だったかそうでないか確定する、というスタンスである。



さて、大規模停電のそもそもの原因、ともすれば地震発生によって、ほとんどの報道によれば、震源地に近いところに発電設備が集中し、発電所設備が緊急停止したのが問題とされている印象がある。主因のひとつではあるようだ。が、私はそこに至る、もう一つ別の可能性を疑っている。

昨日、読売が配信した記事を読んでみたい。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20180910-OYT1T50043.html?from=ytop_top

地震発生17分後、3基目停止でブラックアウト
2018年09月10日 15時00分

 北海道地震で道内ほぼ全域が停電となった「ブラックアウト」は、苫東厚真火力発電所(北海道厚真町)の1号機(出力35万キロ・ワット)が、地震発生から約17分後に停止したのが引き金だったことが分かった。地震直後に停止した2号機、4号機と合わせ想定を超える出力を消失。一部地域を強制的に停電させても需給バランスを維持できず、ブラックアウトを引き起こしたとみられる。

 震源に近かった苫東厚真の出力は計165万キロ・ワットで、道内約300万キロ・ワットの電力需要のおよそ半分を賄う基幹的な発電所だった。3号機はすでに廃止されていた。

 北海道電力などによると、地震発生直後の6日午前3時8分頃、2号機と4号機が地震の揺れで緊急停止。1号機は稼働を続けていた。電力は需要と供給のバランスが崩れると、周波数が乱れて発電機が損傷する恐れがある。このため、北海道電は、失われた供給分(約130万キロ・ワット)に見合うように一部の地域を強制的に停電させて需要を落としバランスの維持を試みた。

 しかし、地震発生から約17分後の午前3時25分頃に何らかの原因で1号機が緊急停止した。強制停電による需給バランスの維持が間に合わなかったとみられ、同時刻に知内、伊達、奈井江の三つの発電所が発電機の損傷を防ぐため自動的に停止。すべての発電所が停止するブラックアウトとなった。

 北海道電は、最大129万キロ・ワット分の発電所の停止までは想定していた。

2018年09月10日 15時00分

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

地震発生後、17分間電力系統が持ちこたえたことに注目したい。17分間持ちこたえたなら、電気の消費量が一定して安定している場合、電力系統的にはその後も持ちこたえるはずだと普通は予想する。
もし、1号機の緊急停止の原因が周波数異常低下であった場合、当該設備の損傷ではないことになるのだ。一応、上記記事の緊急停止は、周波数保護装置動作によるものであることを暗示している。

ただ、上記記事には、17分間、周波数がどういう挙動だったのか、異常低下したのか、異常上昇したのか、書かれていない。強制停電させた後、発電所側、電力系統側、どちらに最初に、予期しない異常現象が発生していたのか、はっきりしない。

大規模地震発生すると、通常は、発電所設備が損壊、送電線が倒壊するなどにより、停電に至る。
しかし、今回は、送電線の倒壊、変電所損壊はほとんどなく、震源地に近い発電設備が2台緊急停止した状態で、17分間電力系統維持された後の、大規模停電である。
つまり、17分間、発電設備も送変電設備も壊れていないのに、なぜ大規模停電に至るのか?ということなのである。


洪水にたとえると、「堤防が決壊していないのに、河川の水面が堤防を乗り越えた洪水」みたいな現象が発生したのではないか?



まず、過去に起きた事例を参照したい。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180906-00000006-jct-bus_all

1987年と2006年にも
 1987年7月には、猛暑による電力需要の伸びが原因で変電所にトラブルが発生。トラブルが起きた変電所は「系統」と呼ばれる電気を送るルートから切り離される。他の発電所からすると負荷が減少するため「空回り」に近い状態が起きて周波数が乱れるため、安全装置が作動して発電が止まった。この結果、停電の範囲は6都県の約280万戸に及んだ。

  2006年8月のケースもこれに近い。クレーン船のクレーンブームが旧江戸川上空を横断する送電線に接触し、3か所の変電所が停電。系統を切り替えてそのうち1か所が復旧したが、需給のバランスが崩れて品川火力発電所が自動停止。この影響で別の変電所が停電し、139万世帯に影響が広がった。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

送変電設備の異常による発電所停止なので、これらニケースは当てはまらない気がする。また、これら二ケースとも原因と結果がはっきりしているように思う。

そこで、仮説として、前述の「猛暑による電力需要の伸び」と似た事例として、「地震後も供給継続されていた地域における、電気の消費量が急激に増加したケース」を想定したい。(上記記事によれば、既に一部地域において強制停電させたと書いてあり、地震発生後、17分間供給継続された地域において、電気の消費量は急激に減ってはいないようであるため、急激に減少したケースはない?)

そこで、普通の家庭の場合、就寝中の大規模地震に対してどういう反応をするのか、推定したい。

おそらくであるが、大抵の家で、かなり揺れた地震ということで、かなり広範囲の世帯において、びっくりして飛び起き、最初に照明を付け、その次にテレビをつけたり、パソコンを起動したのではないか。そのために、地震発生後17分間供給維持されていた地域において、一時的に電気の消費量が激増、一部地域について強制停電させたものの、運転継続している発電設備で対応可能な水準を大幅に上回る電力消費量となり系統周波数が異常低下した可能性はないのか。

ここで、毎日のように、習慣的に発生している現象にお気づきであろうか。

各家庭において、毎朝、目覚ましが午前6時に集中的にセットされているとして、毎朝6時ちょうどに、電力消費量が一定量急に伸びる。同様に、午前7時に、各家庭にてテレビを視聴し始めたとして、電力消費量が一定量、急に伸びる。同じようなことは午前8時、午前9時に起きているはずである。



これらは、技術的には、下記にあるように、通常のAFC・EDC制御でカバーされているはずである。

―― 参考情報 ――――――――――

AFCとの協調制御を考慮したEDCの実用化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejpes/125/2/125_2_170/_pdf

AFC(自動周波数制御装置)
http://www.power-academy.jp/learn/glossary/id/821

―――――――――――――――――

この辺の次元になると、正確に理解できる人は少ない。電力系統工学の博士過程レベルの人(メーカー設計、学者レベル)でないと難しい。


こういう可能性はないのか?
大規模地震発生直後において、毎朝の午前6時、午前7時、午前8時に増加する程度の電力消費量が、この17分間に集中、一部強制停電させつつも、電力消費量の予想以上の急激な伸びに対応できず、電力系統的に周波数調整不可能な状態に陥った可能性はないのか。


上記の「AFCとの協調制御を考慮したEDCの実用化」の範囲を越えた、電気の消費量の急増はなかったのか、ということなのである。

一言で言うと、「深夜の大規模地震発生に伴うパニック反応としての電力消費量の激増」を疑っているのである。東日本大震災の時は、地震発生時刻が午後2時台だった関係で、パニック反応として、テレビを付ける家庭が急増した可能性はある。札幌の友人に電話で聞いたところ、飛び起きて、照明を付け、テレビを見たと言っていた。つまり、深夜帯である関係で、17分の間に電力消費は激増していた可能性があるのだ。
そこで、東日本大震災の時の、地震発生時直後から17分間の電気の使用量の伸びがどうだったのか、確かめる必要が出てくる。私は、あの時は、地震発生後、揺れが収まったことを確認しテレビをつけた。

千葉県南東沖での深夜の地震もあった。タイミング的に電気使用量の急増はなかったのか。千葉県にお住まいの人たちは、地震で何事かと思って一斉にテレビをつけ、電力消費が急に伸びた可能性はないのか?

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://www.yomiuri.co.jp/national/20180911-OYT1T50000.html?from=ytop_main1

千葉県南東沖を震源の地震、鴨川市で震度4
 
2018年09月11日 00時17分

 10日午後11時58分頃、千葉県南東沖を震源とする地震があり、同県鴨川市で震度4を観測した。気象庁によると、震源の深さは約30キロ、地震の規模を示すマグニチュードは4・8と推定される。そのほかの各地の主な震度は次の通り。
   
 ▽震度3 千葉市、千葉県館山市、市原市、君津市など

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

記録としては、地震発生時点からブラックアウト前後までの期間の(約17分間)、①時系列的な動きでの周波数の記録(秒単位)、②ブラックアウト直前まで停電されなかった(末端)地域での電力消費量の記録(秒単位)、③ブラックアウト直前までの発電電力量の記録(秒単位)を突き合わせれば、原因が特定できるように思う。

仮に、私の仮説が正しいとして、パニック反応による電力消費量の予想外の急増に伴う、大規模停電を防ぐために、どんな対策が有効なのかということになる。

それは、照明スイッチを入れることは仕方がないとして、次につける電気機器は、テレビではなく、ラジオとすることを推奨することではないかと思う。
それゆえ、節電目的だけでなく、パニック反応に伴う大規模停電防止のために、地震発生直後は、「テレビではなく、ラジオやスマホにて地震情報収集すること」を世耕大臣は呼びかけるべきではないかと考える。

また、強制停電後の、供給継続されている地域電力消費量の見通しについては一定ではなく、深夜において強制停電された地域が広範囲であればあるほど、供給継続されている地域においては午前6時~午前8時の電気消費量が十数分間の間に出現する可能性(パニック的な電力消費)があるかもしれない。

本稿は仮説に基づく私見である。

あの17分間の、データがあれば、原因を特定することは可能と思う。


ただし、仮に大規模停電の原因が、パニックによる電気消費量の激増であったにせよ、経済産業省や電力会社がそのとおり判断結果を公表するとは思えない。電気事業法において供給義務に係わる条項があり、パニックによる電気消費量激増を含めて厳しい供給義務が課されていると解するからである。

―― 参考情報 ――――――――――

一般電気事業者の電力供給義務について
https://www.env.go.jp/council/06earth/y0610-09/ref03.pdf

―――――――――――――――――

しかし、私は、パニック消費(反応)が起きているなら、パニックが起きたとオフィシャルに公表すべきと思う。そうしない限り、深夜における広範囲な大規模地震の際に再発する可能性があるのだ。

あの東日本大震災が、夜中の3時に発生していたら、、、という意味である。
それゆえ、パニック停電の可能性について、経済産業省は発表することを躊躇すべきではない。

技術的には、AFC制御・EDC制御の協調がうまくいっていたのか、そうでない状況にあったのか、ということになる。

そういう意味で、震源地に近い発電所の依存度が高いことが今回の大規模停電要因の一つであると認めつつも、最終的には技術的かつ法規制上もやっかいな領域での検討結果(法解釈を含む)の公表を待つしかないと考えるのである。

以上

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05:33  |  企業・団体  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

Re: 見事な心理分析です。

> 私だって、そういう動きをします。
> 夜中に地震があれば、電気をつけて、テレビやパソコンを起動させます。
>
> とくにどうしろというわけではなくても、事実の発表は速やかにすべきですし、今のうちはそれに対応した措置の研究をするという事で検討課題にしておくだけで良いと思います。
>
> 非常災害情報伝達アプリの開発を行い、急な電力消費増加に対応することは必要かもしれません。
> あれば、そのPRですね。


お褒めいただき恐縮です。
このテーマではあと何稿か、提言もので出稿予定です。
管理人 |  2018.09.12(水) 12:45 | URL |  【編集】

見事な心理分析です。

私だって、そういう動きをします。
夜中に地震があれば、電気をつけて、テレビやパソコンを起動させます。

とくにどうしろというわけではなくても、事実の発表は速やかにすべきですし、今のうちはそれに対応した措置の研究をするという事で検討課題にしておくだけで良いと思います。

非常災害情報伝達アプリの開発を行い、急な電力消費増加に対応することは必要かもしれません。
あれば、そのPRですね。
Suica割 |  2018.09.11(火) 17:17 | URL |  【編集】

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