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2017.05.10 (Wed)

9条改憲条文 どういう文案とすべきか?

どうやら安倍首相は憲法9条第三項に追記する、加憲的改憲を進める決意のようである。

―― 参考情報 ――――――――――

首相、蓮舫代表に「具体的な改憲提案を」。 「まずやるべきは自衛隊」
http://www.sankei.com/politics/news/170509/plt1705090036-n1.html

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国会で、安倍首相が具体的な改憲提案をして欲しいと発言したことは、我々も官邸に、こういう文案でどうか?と提言すれば受け付けていただけることを意味する。
拙ブログは提言型ブログを標榜しているので、そうさせていただく。

また、首相は、5月3日の読売単独インタビュー記事を熟読して欲しいと述べたそうだ。まだ、読まれていない方、拙ブログ記事にて参照可能である。

―― 参考情報 ――――――――――

安倍首相は「政治の技術」を駆使、「憲法改正」の筋道を見出した!!
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-450.html

―――――――――――――――――

これに対し、万年野党は対案を示さず総じて反対、「糞真面目かつ正確に記述されている憲法条文」でなければ「許せない」と考える真正保守層も反対するであろと予想する。

もちろん、中学生レベルの強弁を繰り返す、民進党蓮舫代表や、人糞酒の飲み過ぎなどで言っていることがポエム化しつつある「朝日、毎日、中日、東京、信濃毎日、北海道や沖縄の二紙」などの論説記者の主張など、真に受ける必要はない。

―― 参考情報 ――――――――――

蓮舫代表の呆れた国会質疑を嗤う
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-4378.html

憲法学者の見解を摘み食いする朝日新聞の姑息な9条論
http://yukokulog.blog129.fc2.com/blog-entry-2703.html

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一応、糞真面目かつ正確な改憲を行うべし、というスタンスに近いと思われる、真正保守層向けに、以下にて出稿した。

―― 参考情報 ――――――――――

改憲論争  都度加憲・正確に記述された憲法 どちらが合理的か
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-457.html

安倍首相改憲方針  安倍談話・日韓合意・リットン調査団報告書との関連
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-460.html

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次に、憲法第9条第三項が如何なる文言とされるべきか?

現憲法はこうなっている。
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第二章 戦争の放棄 

第九条    日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

○2   前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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視点は二つある。

・糞真面目に正確に記される条文
・種々のケースを想定したアバウトな条文

本稿では、これら2ケースについて、参考条文を提示する。(詳細後述)


まず、糞真面目に正確に記される条文から入る。実は、これは文章的に難題である。普通の人は考えることも躊躇するだろう。私は、5月3日の安倍首相の読売単独インタビュー記事を読んで、安倍首相が狙っている憲法第9条第三項の加憲的条文のイメージがなんとか掴めた。

日本が武力侵攻されるケース、国際紛争に巻き込まれたケース(場所は国内とは限らない)
敵基地先制攻撃、巡航ミサイルでの攻撃、核兵器による攻撃を想定して書いてみたい。

糞真面目かつ正確に書くと、おそらくこういう内容のものとなるのではないか?

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糞真面目かつ正確に書いた場合の、第三項加憲案

・日本国が特定国もしくは武装勢力からの武力による侵略を受ける、あるいは、日本国が特定国もしくは武装勢力との国際紛争に巻き込まれた場合、あるいは同等の事態が予見されると内閣が判断した場合
前第一項、前第二項の規定によらず、自衛権を行使できるものとし、
内閣は自衛隊を指揮し、自衛隊は、敵基地(先制)攻撃に必要な武器(空母、爆撃機、戦闘機、巡航ミサイル等、上陸ならびに上陸後の戦闘のための武器等)と装備ならびに要員を確保、必要な情報収集を行い、相手国ならびに武装勢力を攻撃するための武器の使用(核兵器を含む)ならびに防衛上必要な措置を遅滞なく行えるものとする。

―――――――――――――――――

これは、「糞真面目かつ正確に書いた場合の第三項(案)」である。当然の事であるが、文章的にはこなれておらず、内閣法制局に多々推敲される可能性はある。

安倍談話について、「村山談話を否定する」という文言が入っていないから「許せない」と判断された方
慰安婦問題日韓合意について、(韓国に10億円払ったこと、名目的に慰安婦の存在を認め謝罪した形となっていることが)「許せない」と判断された方
加憲的改憲について、「加憲」の手法はもともと公明党が主張していた関係で眉唾ものであり、「許せない」として反対されるであろう方、

おそらく、拙ブログの「糞真面目かつ正確に書いた場合の、第三項加憲案」に賛同されると予想する。

が、この文案で国会審議が成立するのか?万年野党が、例によって、無期審議拒否に入る可能性はないのか?
(在日)マスコミ、左翼の言論人が発狂する可能性が強い関係で、国内でテロ等を招くリスクはないのか?
国会で2/3の議席を以て、突破したにしても、この文案で、国民投票で過半数を獲得できるのか?

私は疑問に思う。



これは、糞真面目に正確に憲法条文に書いた改憲を行うとするが故に、発生する問題なのである。

一方、「種々のケースを想定したアバウトな条文」の場合は、そうはならない、と予想する。


どういう状況で武力行使するのかを含め、少なくとも、敵基地先制攻撃に必要な武器(空母、爆撃機、戦闘機、巡航ミサイル、上陸ならびに上陸後の戦闘のための武器)、相手国ならびに武装勢力を攻撃するための核兵器使用云々について記述する必要はなくなる。

こういう書き方ができるかもしれない。

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種々のケースを想定しアバウトに書いた場合の、第三項(案)

前第一項、前第二項の規定によらず、状況分析の結果として自衛権を行使できると内閣が判断した場合、内閣は必要な武器・装備・要員等を確保・保持するとともに、自衛隊を指揮し、必要な措置を行うことができるものとする。

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「自衛権を行使できるという記述」、矛盾していると言われるかもしれない。が、第一項、第二項との関連の解釈については、「第一項と第二項の例外的位置づけで解釈するという屁理屈?」で説明することが可能かもしれない、と考えたのである。



文章的には、以下の記述を参考とさせていただいた。
||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A

自衛隊

概要

防衛省庁舎(東京都新宿区)
日本国憲法第9条の下、専守防衛に基づき、国防の基本方針および防衛計画の大綱の定めるところにより、他国からの直接および間接侵略に対して、国民の生命と財産を守ることを基本理念とする。内閣総理大臣が内閣を代表して最高指揮監督権を有し、防衛大臣が隊務を統括する。陸、海、空の三自衛隊を一体的に運用するための統括組織として統合幕僚監部が置かれ、防衛大臣は統合幕僚長を通じて、陸海空自衛隊に命令を発する。
自衛隊法上の「自衛隊」とは、自衛隊員[注釈 1]として含まれない「防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与、及び防衛大臣秘書官」なども含めた防衛省の「事務次官並びに防衛省の内部部局、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛会議、統合幕僚監部、情報本部、防衛監察本部、地方防衛局、防衛装備庁、その他の機関並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を含むもの」(自衛隊法第2条第1項)とされ、これは「防衛省」とほぼ同一の組織に相当する[注釈 2]。一般的には国の行政機関という面から見た場合は「防衛省」、部隊行動を行う実力組織としての面から見た場合は「自衛隊」として区別されて用いられることが多い。
日本国憲法第9条は国際紛争を解決する手段としての「戦争の放棄」と「戦力不保持」、ならびに「交戦権の否認」を定めているが、政府見解によれば憲法は自衛権の放棄を定めたものではなく、その自衛権の裏付けとなる自衛のための必要最小限度の実力は憲法第9条第2項にいう「戦力」には該当しない[6][7]。よって、日本を防衛するため必要最小限度の実力を行使することは当然に認められており、これは交戦権の行使とは別の観念であるという立場に立っている[8][9]。こういった憲法上の制約を課せられている自衛隊は、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであるが、他方、自衛隊は国際法上は軍隊として取り扱われており、自衛官は軍隊の構成員に該当するものとされている[10]。

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

私の知識は、大学の教養過程で日本国憲法を学び、当時の有名な憲法学者たちが書いた岩波新書を二冊程度読んだ程度である。
この分野で専門家と語るつもりはない。が、オフイスのキャビネット一箱分に相当する企業マニュアルくらいは職務上読んだ。従って、この種の文章を作成することを苦にしない。

が、「種々のケースを想定しアバウトに書いた場合の、第三項(案)」の文案なら、国会審議的に、何の問題も起きないと言うか、起こるはずがないと予想する。

私は、安倍首相が表明した、加憲方針に対応する文章は、イメージ的には「種々のケースを想定しアバウトに書いた場合の、第三項(案)」に近いのではないかと思う。

そこで、こう申しあげたい。


多くの保守層は、「安倍首相が加憲と語ったこと」に惑わされているのではないか?






一方、安倍首相が加憲と言わない場合、「種々のケースを想定しアバウトに書いた場合の、第三項(案)」が内容的に9条の抜本改正の領域に踏み込んだ改正と解釈される可能性はないのか?

安倍首相の「加憲発言」は、文案的には抜本改正に近い内容のものを、イメージ的にマイルドなものとして受け止めさせ、同時に加憲的主張していた公明・維新関係者の賛同を得ることに繋がる……………


一種の、言葉のマジックとして「加憲発言」が為された?
もちろん、「言葉のマジック」も「政治の技術」であることは言うまでもない!

政権としては、閣議決定した文案を公表するのは先になるはずだが、読んだ人が、「保守・左翼問わず、おそらく拍子抜けするくらいの簡単な文案ではないか?」と予想するのである。




真正保守層の一部については、何事も「糞真面目かつ正確な記述」でなければ満足せず、感情論的に判断を急ぐ結果、「許せない」から反対というポジションを選ぶ方がいる、私はそういう人たちが、ちゃんねる●などを好む、真正保守層に多いのではないかと予想する。

そこで、こういう疑問が生じる。

空母を保持するために、都度、憲法を書き換えるべきか?
空母による敵基地攻撃を行うために、都度、憲法を書き換えるべきか?
爆撃機を保持するために、都度、憲法を書き換えるべきか?
爆撃機による敵基地攻撃を行うために、都度、憲法を書き換えるべきか?
巡航ミサイルを保持するために、都度、憲法を書き換えるべきか?
巡航ミサイルによる敵基地攻撃を行うために、都度、憲法を書き換えるべきか?
原子力潜水艦を購入するために、都度、憲法を書き換えるべきか?
核兵器を保持するために、都度、憲法を書き換えるべきか?
核実験を行うために、都度、憲法を書き換えるべきか?
核兵器による敵基地攻撃を行うために、都度、憲法を書き換えるべきか?



我々は、憲法コント(お笑いネタ)の世界にいるのであろうか?
政治の世界が、憲法コント(お笑いネタ)の世界であっていいものであろうか?




そのために、何回、国会で2/3以上の議決を必要とし、国民投票しなくてはならないのか?
何度も繰り返される(かもしれない)、都度・個別の改憲手続きが完了する前に、日本は敗北してしまうのではないか?


もう「憲法コント」に付き合う気はしないのである!


憲法改正に係わる議論、手続きは必要なことは言うまでもないが、過度に手続きのためにエネルギーを投入する必要はなさそうである。

以上、まとめると、安倍首相の改憲方針表明と改憲手続きは、戦後を最終的に終わらせるための非常に重要な作業と位置づけるのであれば、
自ら愛国者であると語る方こそ、率先して、どういう一文が付け加えられるべきか、憲法と安倍談話を読み直し、考え、作文され、具体的に意見表明されるべきであろうことを指摘し、本稿を終える。

なぜなら、安倍首相が考える憲法第9条第三項は、

「保守・左翼問わず、おそらく拍子抜けするくらいの簡単な文案で、字数的に100字前後ではないか?」(拙ブログ案は110字前後)、

すなわちツイッターでそのままリツイートできる文章と予想されるからなのである。

以上


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2017.05.10 (Wed)

安倍首相改憲方針  安倍談話・日韓合意・リットン調査団報告書との関連

ブログ「私的憂国の書」は、5月3日安倍首相改憲方針表明に対し、「自民の船田元党憲法改正推進本部長代理の「慎重であるべきだ」との見解から、自民党内の不協和音が安倍首相の改憲方針の障害になるとしている。

―― 参考情報 ――――――――――

安倍改憲論の障害になるのは自民党内の不協和音か
http://yukokulog.blog129.fc2.com/blog-entry-2702.html

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私は、船田元議員の気持ちはおそらく、、、

自民党内部に事前相談することもなくあのような形で方針表明したことを「許せない」と言いたいのではないかと!


同時に、「5月3日安倍首相改憲方針表明」について否定的な保守層は、「安倍談話」、「慰安婦問題日韓合意」についても否定的な見解であろうと見立て、出稿するものである。

前稿では、安倍首相が掲げる改憲方針から、二つの改憲手法があることを前稿にて示した。

―― 参考情報 ――――――――――

改憲論争  都度加憲・正確に記述された憲法 どちらが合理的か
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-457.html

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「糞真面目に正攻法で進められる改憲」、「レトリックを駆使し、100年がかりでGHQ憲法無効化を目指す加憲的改憲」どちらの改憲も合理的であるとみている。

前者は、憲法それ自体において

後者は、憲法条文的には正攻法ではないが国論を二分する論争で時間を浪費せず、国家の安全保障を優先させるという意味において

前者は、9条抜本改正、敵基地先制攻撃、巡航ミサイルの使用、核武装、核武装での敵基地攻撃について、9条に条文的にどう書くか、国民各層に認めていただくか、政治的な難題を抱えている。

ただ、世に言う真正保守層は、ともすれば前者を好むだろうと予想する。手法的に前者でなければ「許せない」からだ。


安倍首相が見出したであろう加憲の手法は、「安倍談話の手法を想定している可能性が高い」と私はみている。レトリック的手法を駆使することで、GHQ憲法の反日的各条項が100年もすれば無効化、その時点で憲法全体の抜本書き直しをすればいいのである。

「安倍談話」の核心が読み込めてない方には、理解することは難しいかもしれない。
すべては「安倍談話」に遡るのである。

そして、世に言う真正保守層は、「安倍談話」の言葉の中で、「村山談話を否定する」という「文章」がはっきりと埋め込まれていなければ納得しないのであろう。「村山談話を否定する」という文章が含まれていないことが「許せない」のであろうと私は見る。
しかし、安倍首相は、レトリック的に村山談話を否定する手法を見出し、「安倍談話」が発表されたのである。


||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

「反日同盟 中国・韓国との新・歴史戦に勝つ!」

石平
もうひとつ重要な意味。それは村山談話を葬り去ったということ。日本はこの二十年あまり、村山談話や河野談話に縛られてきた。ついにそこから脱してきたわけです。これまでは必ず「村山談話を受け継ぐのかどうか」を問われてきた。でも、もはやその問題は存在しないんです。これからは「安倍談話をどう認識するか」というのが論点となる。村山さんは談話が発表された当日、「私の談話は受け継がれていないじゃないか」とおっしゃいましたね。まさにそれでうよ。よくわかっていらっしゃる(笑)

||||| ここまで引用 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

同様の手法は、「慰安婦問題日韓同意」についても当てはまる。
拙ブログは、合意することで外交的に優位に立てるとの判断によって、日韓合意を決断したと解した。

―― 参考情報 ――――――――――

全方位的な「情勢分析」の必要性について
http://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-428.html

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しかし、世に言う真正保守層は、「10億円もの金を韓国に支払い、合意した事実」が許せなかったようだ。あの事案は、そもそも合意する事案ではなく、10億円もの金を支払う事案でもなく、韓国に謝罪させなくてはならない事案である、そういう性格の事案であることは確かだ。

ちなみに拙ブログは、「安倍談話」についても、「慰安婦問題日韓合意」についてもビジネス文書レベルでの分析を行った。

すべては、「安倍談話」に遡るのである。「安倍談話」の意図するところを、読み切れていないから、許せない」という判断が先行、感情論で結論を急ぎ過ぎ、日韓合意に係わる冷静な分析がなおざりとなり、「5月3日の改憲方針についての首相表明」の判断が分かれてしまうと私はみている。

「安倍談話」を否定する人は「慰安婦問題日韓合意」や「5月3日の改憲方針についての首相表明」を否定するだろうと読むのである。

ここで、歴史的に重要な意味を持つ、一つの事案を紹介したい。
倉山満は、その著書にて、リットン調査団の判断を不服とし国際連盟を脱退した、当時の日本外交の対応の稚拙さを指摘している。

||||| ここから引用開始 |||||||||||||||||||||||||||||||||||

真・戦争論 世界大戦と危険な半島
倉山満

真・戦争論

125頁
英・仏・独・墺・露・伊・土の七カ国が集まったベルリン会議の結果、ベルリン条約がまとまり、ブルガリアについては次のようになりました。

・大ブルガリア帝国構想は認めない。東リメリアとマケドニアはトルコ領とし、ブルガリアの領土はブルガリア本土のみ認める。
・ブルガリア本土に広範な自治を認める。ただし、主権そのものはオスマン帝国に残す。

126頁
こでブルガリアは、サン=ステファノ条約で認められたのより大幅に領土を削られたものの、事実上独立することになりました。事実上の独立とはオスマンの支配から離れるということですから、戦争の果実はロシアのものです。オスマン・トルコの面子だけは立てなければなりませんが、露土戦争で獲得したロシアの権益はすべて認められました。


127~128頁
昭和の日本がこの時のロシアの立場だったらブチ切れて戦争を始めても不思議でないところですが、ロシアは短気を起こしませんでした。オーストリア一国ならともかく、イギリスとオーストリアが組んでしまったらロシアは勝てません。オーストリア自身の軍事力は弱くても、英独が友達としてついているので勝ち目がありません。
ロシアは賢いので、勝ち目がない以上、どんなに面子を潰されても耐えました。ロシアは軍事力で持っている国だとよく誤解されていますが、実は外交力で持っている国です。力の論理の信奉者なので、強い国とは戦わず、弱い国は相手にしないリアリストです。
ところで、この時の「形式的主権は認めないが、実質的に自治権を認める」ブルガリア方式は、日本と重要な関係があります。ブルガリア方式を理解できなかったから大日本帝国が滅んだとも言えるのです。「主権はオスマン・トルコに残しつつもブルガリアがロシアの勢力圏に入ったのと同じように、満州国も、日本が満州事変で得た権益は全部認めるから、主権だけ中華民国に認めてくれ」というのが、満州事変後のリットン調査団の提言でした。リットン調査団とは、昭和六(一九三一)年、満州事変の発端となった南満州鉄道が爆破された柳条湖事件の調査を行った一段であり、リットン卿はその団長で、インド臨時総督も務めた英国の政治家です。とにかく名目だけは中華民国の主権を認めないと国際連盟の立場がないし、国際連盟の小国たちが「日本がやったようなことをドイツやソ連がヨーロッパでやったら困る」と言っている。だからここだけは妥協しないと日本のためにもならないから形だけは譲ってくれ、ということだったのです。
リットンは当然ブルガリア方式を知っていて日本に持ちかけているわけですし、日本側だって、ヨーロッパに行った外交官は一人を除いて全員優秀ですからわかっています。だからリットンは「これなら日本も飲めるだろう」と思っていました。

129頁
ところが、その例外の一人が、元オーストリア公使で当時の外相の内田康哉でした。まったく勉強せず、ブルガリア方式を提案されても理解できず、朝日新聞などがリットン報告書に対して、非難轟々で煽るとその言うなりになり、国際連盟を脱退してしまいました。この件で松岡洋祐がよく悪者扱いされていますが、松岡は実際には、国際連盟脱退に最後まで反対でした。松岡が「十字架上の日本」演説でイギリスと話をつけたのもつかの間、内田は「どんどん強硬論を言え」という訓令をおくりつけてぶち壊しています。


196頁
この内田康哉は、のちに昭和になって国際連盟脱退直前に外務大臣として「全世界を敵にまわしても、国土を焦土としても満州国承認をやる」と演説し、満州国を承認したがために全世界を敵にまわし、本当に日本国土を焦土にしてしまった人です。


||||| ここまで引用 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

これは、「政治の技術」を理解しない、当時の日本政府、外交関係者の失態であると理解する。

当時の日本政府首脳は、100%完全なものでなければ100%納得できるものでなければ受け入れないという発想で、国際連盟脱退を決断したのであろう。リットン調査団が「方便」としてまとめたものを、日本の国内世論、日本政府・外交関係者は「許せない」と判断したと私は解する。

私は、「安倍談話」、「慰安婦問題日韓合意」、「5月3日の改憲方針についての首相表明」、どれも同じ考えのもとで、政治の技術を駆使して編み出されたと受け止めている。

「許せない」人は、100%正攻法、100%明文化、100%相手が悪い、そうでなければ納得できない人たちであろうと思う。

安倍首相の決断が「許せない」方に私は問いたい。

自分は誰よりも愛国者であると語っている一方で、安倍首相が何か言葉を発するまで常に「待ち」の体制でいることが、愛国者の作法として妥当なのか否か?

100%明文化して安倍首相に対案を示せるのか?

100%正攻法で事が成就するのか?

ということなのである。

そして、許せない」と語り続ける言論人は、そもそも「安倍談話」を読み込んでいたのか?


きちんと読み込んでいないから、「日韓合意」を含むその後の判断も感情論が優先する「許せない」とする判断が支配的となる可能性を指摘し、本稿を終える。


以上

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